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世界観を楽しめるかどうかだけど、執拗なまでに細部まで構築されたアナザーワールド、『球地(たまつち)』の世界観には圧倒的なものがある。ただ、当て字の漢字表現が濫用されているため、脳内変換する手間がかかかり、読むのに時間がかかるのにはまいった。もう少し純粋に物語が楽しめれば尚良かったが、内容を吟味して味わうというより、語感含めて読んでいるライブ感を楽しむ作品と思いたい。世界観が受け入れられて、じっくり取り組める方にはかなり有意義な作品と思われる。
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造語だから出来ること、日本語だから出来ること、SFだから出来ること、それらを追究し、洗練させた果にこの小説は在るのだろう。
だがここで描かれるのは、多くの人が知っている”営み”と、連綿と続く生命の”輝き”だ。あまりに力強く、あまりに美しい命の賛歌を聞いた。
舞台は球地(たまつち)。繰り出される造語の数々は、その字面自体が異世界への導入となっており、親から子へ、子からまたその子どもたちへと時代が進むことで、徐々にこの世界を理解する仕組みとなっている。作者の持ち味はかつてないほど洗練された形で発揮されており、独特でありながら読みやすい。
音楽SFとしても傑作であることは間違いなく、ラストの壮大な光景は圧倒的。同時にちょっと他にないくらい「我が事」と感じながら読んでしまう普遍性があり、展開、登場キャラ、世界造形、卓越した文章、どこを切り取っても素晴らしかった。一文一文、いや、一音一音を愛でるように読ませて頂きました。
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この人の作品はいつも知らない世界へと連れて行ってくれる。最初は世界に中々馴染めないけども笑。世界観に慣れたら割とスラスラ読める。
「思考は言葉に縛られる」と言う通り、自分の知ってる言葉以上の世界を見る事や理解する事は出来ないから、こういう造語の物語って全く自分の埒外の世界を見られるという意味では希少な作家だし作品。圧巻の一言。
理解力が乏しくて、ラストの「起」かどの時点の記述がちょっと解らない。ヌグミレがいなくなるの少し切ない。
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喃鵺粘《なんやねん》。前々忌若乱《ぜんぜんいみがわからん》。出毛転載《でも天才》。始終こんな調子で濃厚な文体だが、ずっと物語に浸ってぐいぐいと読んでしまった。純文学なんだけど、純文学を超えている。前衛ってこういうのを言うんだと思う。
こういうの書いてみたいんだよなぁ俺も。夢裡鴨痴内《むりかもしれない》。霧鸝堕浪《むりだろう》。一価薗討《いつかそのうち》。
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「奏で手のヌフレツン 」(酉島伝法)を読んだ。
あゝ読み終わってしまった。
壮大なる新しき世界誕生神話出来!
浮揚感と高揚感とゾワゾワ感。稀に心拍数の上昇。
これが世に言う『酉島伝法酔い』なのか!
(嘘です。私が勝手に命名しました。)
他に類を見ない世界観と目眩く造語の数々がたった一人の頭の中から湧き出してくるってのが信じられないわ。
『 ''でょでょでぃ、でょでょ——"
隕星はときおり、鳴き声とも呼吸ともつかない音を洩らす。』(本文より)
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読み終えたら⭐️五つ
だったかも、、、
でも、どーしても、最初の数ページから、
読むのに疲れ
世界に入れず
そこを乗り越えたら良かったのかもしれないけれど
想像の世界かつ
当て字の多さに
先を読む気になれず諦めてしまいました。
素晴らしい本でも
面白くないと、今の私にはまだ読み進められません
面白い、は、主観的なので
きっと面白い、素晴らしいと感じる方は
たくさんいらっしゃると思いますが。
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24/05/10
実写化かアニメ化か漫画化かしてもらい、映像の答え合わせをお願いしたい…!!
世界のイメージを朧げに掴んでからは一気でした。零號琴を読んだときのことを思い出した。
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とてつもなく壮大なのに、とても日常的でもある物語。もう少し言うと、現実世界とはまるで違う世界の存亡に関わる物語だが、そこで暮らす生命体の生活や感情はまるで現世で常に感じているものと変わらない。そんな物語。
読み終えた今も映像が思い浮かばないものもあるくらい独特な世界。でも、没入感はとても高い。読んでいる間この世界で暮らす落人(おちうど)の一員にはなっていたと思う。独特なワードばかりなので、最初はスラスラ読めなかったが第2部ヌフレツンの部に入ってからはググッと入り込んでいったように思う。もし、これから読む方も第1部で諦めずに読んでみてほしい。親子三代(いや、四代か?)に渡る壮大なこの世界の行く末と家族の物語が満喫できます。
球体状の球地(たまつち)は遠い昔に激しい爆発により穿たれた空間。その頃は太陽も月もひとつずつだったものが、落人の先祖たちが禁忌を犯したがため球地が穢れ、太陽や月が大地に激突して砕ける。裁定主(神様?)により裁定力(重力みたいなもの?)が施され鎮まったが、5つに砕けた太陽も身動きが取れなくなる。罪を償うために自らを捧げ太陽の欠片の足となり球地を巡るようになる。というような世界の始まりも少しだけ音戯噺(おとぎばなし)として描かれるのだが、現在の球地では太陽は4つになってしまっている。
そんな世界のお話だが、原罪や穢れといったものが古くからのしきたりや信仰心として残り、憎悪や偏見をもたらし、肉体的にも精神的にも痛みを伴う世界になっている。そこで暮らす落人たちは煩悩蟹の解き手(ときて)や療治処の治み手(おさみて)、環海の漁り手(いざりて)、様々な楽器の奏で手(かなでて)など仕事をして暮らしている。そして、子に対する愛の伝え方が不器用であったり、親を疎ましく思いながらもかけがえの無い存在であることも描かれる。この日々の暮らしや感情は現在の日常を想像させるものであり、想像が及ばない世界での物語にもどこか近しいものを感じる。そして、最後の壮大な出来事には度肝を抜かれた。
用語集が欲しくなるような独特なワードばかりだが、読みながら徐々に分かってくる世界を想像しながら読むのがとても楽しかった。