電子書籍
イマイチ
2024/02/21 09:53
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれあり。
有間さんなので期待していたけどイマイチだったなぁ。
表紙の3人全員薄味でw
出てくる料理もいつもの有馬さんとは違いさほど興味惹かれなかった…
投稿元:
レビューを見る
こんな言い方は、有間先生に対して、メチャクチャ失礼だろう、と解ってはいるんだけど、あえて言わせてほしい。
予想していたよりも、凄く良かったです、この食漫画。もしかすると、私が有間先生の代表作である『そんな女、ジルバ』を読んでいたら、この作品の良さをより実感できたのかも知れない。
まぁ、そこは言っても仕方ない話なので、気持ちは切り替えて、この『青嵐寮の献立 お料理男子、ときどき考古学』の良さを語ろう。
まず、この作品の良さは、料理がどれも美味しそうってのが大きい。わざわざ言う事じゃないが、登場する料理が美味しくなさそうでは魅力的じゃない。
この作品っつーか、有間先生の画風は、割と淡泊めな方なんだろうが、その画風で描かれる料理が、どれも良い意味で庶民向きで美味しそうなのだ。また、どのメニューも、材料が特別なものじゃないから、ある程度の調理スキルがあったら、大抵の読み手が作れるんじゃないだろうか。
どれも美味しそうだが、個人的に、これは最高だなァ、と感じたのは、二十品目「ローストポーク」だ。私も、もう、三十代半ばなんだが、やはり、どデカい肉には魅了されてしまう。三品目「モツ煮込み」や五品目「ハンバーグ」もグッと来たが、どれが食べたいか、十秒以内に決めろ、と聞かれたら、やはり、ローストポークなのだ。
こればっかりは、直感的な決定なので、どうしてか、と問われちゃ困ってしまうが、あえて理由を挙げるなら、塊肉は最高だ、と言うより他ない。
次点は、十七品目「アクアパッツァ」である。肉が大好きな私だが、魚だって同じくらいに大好きなのだ。しかも、こんな風に、ドンッと立派な魚がそのままで調理されてたら、その魅力は凄まじかろうよ。
そんな魅力的な食事に負けないくらい、この作品の良さを引き立てているのが、主人公・大迫の人間的な成長が、丁寧に描かれているところだ。最初は、なよなよしていた大迫が、良い先輩らに振り回され、また、考古学特有の浪漫に触れていく事で、気弱さが抜けていき、図太くなっていく過程は微笑ましく見守れる。
何より、サークルのマドンナたるエイコ部長に片想いをしている様が、実に可愛らしい。終盤で、大迫が勇気を振り絞った事で、仲が進展するのも、これまた、キュンキュンして好い。
この台詞を引用に選んだのは、そりゃ、異性と接するのが得意じゃなかった大迫にとって、エイコ部長が特別な存在になるわ、と感じたので。
端的だからこそ、確かに、そうだよなぁ、と思えるのも大きい。
人は、他の生き物の命をいただいて、自分の生を繋ぎ、命のバトンを次代に託してきている。
であれば、アレルギーでない限りは、口にする食べ物に感謝しなきゃいけないんだよな、本来。
これでハッとして反省し、もつ煮込みを食べ、「美味しい」と言える大迫は、ホント、良い子だな。
「いきもののいのちだったんだよ」(byエイコ部長)
こちらの台詞を引用に選んだのは、大迫、よくぞ言った、と惜しみない拍手を送りたくなったので。
男ならって言い方は古い、を通り越して、時代錯誤かも知れんけど、やっぱり、男には勇気を出さなきゃいけない時があるんだよ。
そのタイミングを間違わなかった大迫は、実に立派で、同性の目から見ても、十分にカッコいい。
きっと、そんな大迫の良さに、エイコ部長は、他の誰よりも気付いていたんだろうな。
あー、可能なら、この作品、続きが読みたいわぁ。
後輩が出来た大迫の先輩風や、エイコ部長との遺跡巡りデートも見たい。
「卵と生クリームのカスタードに、アーモンドプードルの甘いお菓子、好き?」
「す・・・好きです。ぼく、ずっと、エイコ部長は、縄文の女神よりステキだと思ってます」
「え、あ、ありがと」(by大迫、エイコ部長)