投稿元:
レビューを見る
芥川賞候補らしい作品
読みながら戸惑うのはトランスジェンダーへの自分の無知無関心のためだと思った
自身の多様性を知ることは他者のそれを理解するよりもむずかしい
引き続き川野芽生さんの作品を読んでゆきたい
投稿元:
レビューを見る
冒頭、演劇部の部員が会話しているシーンで混乱する。一人称が「僕」だったり「わし」だったり
複数の男女が会話しているかのように見えるが、実際は(外見は)女性ばかり。
そもそも私は物語の登場人物の性自認がどうあれ嫌悪感はないが、どこかで薄らと(この人は女性の見た目だが元は男性)等と答えを知りたくなってしまう。
そのことが悪いことなのか分からないが、やはり決めつけようとするのは良くないのだろう。
真砂が性転換手術をしようとしたとき、両親は止めた。止めた理由がそれらしい理由なので、何となく納得してしまったし、実際真砂も止めてしまったのだが、何かモヤモヤした感じが残った。
踏み切って手術していれば、真砂はもっと自由に生きていたんじゃないかとも思う。言いきれないが。難しい。
トランスジェンダーは就職も不利なのか。どこまで行っても差別は続く。見た目が男性の方が就職や賃金に有利という考え方をさせられるこの世の中が、寂しい。
真砂は最後、想い人に告白するが、返ってきた言葉に絶句することになる。真砂も結局、自分の考え方を相手に押し付けていたのだ。
知らず知らずの内に私たち人は、他人がこうするべきだ、こうあるべきだと押し付けてしまっているのかもしれない。
そして押し付けていることに気づくことは、難しい。
投稿元:
レビューを見る
登場人物それぞれの身体と心の性別がよく分からないまま読み進めたが、意外とそういうことが明確でなくても大丈夫のような気もした。
もちろん当事者にとっては深刻で、コロナ禍でホルモン治療が継続出来ず…なんて話は考えたこともなかったけど。
性別のことだけでは無く、束縛男に惚れてしまう女の子とか、自分とは違う人に対して地雷を踏まない接し方とは?なんてことを考えるともう面倒で引きこもりたくなった。
投稿元:
レビューを見る
図書館の新刊コーナーに並んでいるのを見かけて、どこかで見かけたタイトルだなと思って借りて帰って、通勤電車の行き帰りで読んだ。
失礼ながら著者の名前の読み方も、著者が女性だったことも読後にネットで検索して知ったくらいなにも知らずに手に取って読んだわけですが、アンデルセンの物語に仮託して自らのアイデンティティを語る高校・大学生のかれらが頼もしかった。