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〝呑食者〟と〝山〟も熱いが、やはり出色は〝流浪地球〟〝中国太陽〟。
宇宙は黒暗森林であっても、我々はなお宇宙を求める。
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それぞれの話の発想にまず感心しつつ読み始め、そんなことを忘れて熱中していると巧みな結末に改めて感心させられてしまう。
難しい科学的背景を感じるが、それが読むのを邪魔することなく、むしろ楽しみを増すスパイスになっているのもいい。
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三体文庫化楽しみ!というところでウォーミングアップとして短編集を読もうかと。表題作の流浪地球は映画版があるそうで、知らなかったんですがまぁ面白かったですね。太陽の膨張に飲み込まれないために地球を太陽系外に逃す、ノアの方舟じゃなくて地球ごと移動ってのはスケールがでっかい。地球が自転をやめ、公転をやめ、地球から離れていくことの過酷さ、その問題がしっかり描かれていてハードSFって感じでした。めちゃくちゃスケールがデカくて設定もしっかりしてこの読み応えでこれしかページ数がないのが本当に不思議。分量と読み応えがまったく一致してなくてその作者の想像力の大きさに感服しました。生きることに精一杯で感情が平坦になり理論的になったかに思われた人間が、やっぱり愚かな感じもいいですね。表題作以外もバリエーション豊かで、ちょっと皮肉っぽいコメディ感もあって良かったです。コンピューターウィルスのやつとかよかった。核爆弾で遊ぶ子供みたいな、ちょっとでも悪用しようと思ったらとんでもないことができるおもちゃで遊んでしっかりとんでもないことになるみたいな。よかったです。
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様々な視点の短編でどれも面白い。
どことなく三体を彷彿とさせるけど、これが根幹にあると納得。
短編でこれだけのスケールを感じさせるストーリーはさすが劉慈欣。
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他の短編集よりも作者のバリエーションの豊かさを感じられる作品たちだと思う。あとがきにあるように表題作の映画版はちょっとガッカリだったので、原作の面白さが際立った。
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おもしろいなあ。短編集ですが、どの話もギッチリと世界観とキャラクターが練られていて、ちゃんとSFなのに分かりやすくて読みやすい。
■流浪地球
地球にエンジンをつけて太陽に飲み込まれる前に太陽系外に脱出しようというお話。50ページくらいのお話にこれだけ壮大な世界観を盛り込めることがスゴイ。何世代にも亘る永い時間軸の物語。
■ミクロ起源
流浪地球の続き?と思うようなお話。遥かな時間の後に地球に帰還した飛行士が見た地球は、一見壊滅しているように見えたが、実はミクロ化した省エネ文明が栄えていた。物理スケールは小さいけど、お話のスケールは大きい。
■呑食者
惑星を食べてペッと吐き出す「呑食者」にとりつかれてしまった。一発逆転なるかという展開がアツイ。
■呪い5.0
おバカSF?作者さんの遊び心に溢れた呪いのSF
■中国太陽
衛星軌道上に鏡面マシンをおいて人工太陽とするお話。鏡面の清掃や物理調整が重要で、その役わ担ったのはスパイダーマンと呼ばれる高層ビル窓拭きの男たちだった。
学歴や出身地による格差問題を織り交ぜつつ、ホーキング博士まで登場して、だんだんスケールが大きくなっていく様がアツイ。
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リュウジキンにどハマり中
流浪地球、呑食者、呪い5.0が面白かった。
特に呑食者のラストは、星を継ぐものを彷彿とさせる終わり方で、かなり好みだった
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『三体』を読んだ後だったこともあって、劉氏のSF仕掛けのスケールに自分の感覚が慣れてしまっていたかも。それでも、やはり作品世界への引き込まれ感が凄い。編まれている短編(中編)の一本一本が充実していて、きちんと読ませる作品。次も読まなきゃ。
タイトル作品の『流浪地球』。地球エンジンっていう発想も凄いんだけど、エンジンの作動状況とか、次々に起こる悲惨な超災害とか、映像が頭に浮かんでくるような描写が上手い。じっくり読みたくなる。
『呑食者』 冷静な大佐(元帥)。沖田艦長を思い出したよ。
『山』まだ見ぬ未踏の地への想い(欲望)は普遍なのか。安全を選ぶのは本能だが、より危険な方へベクトルを向ける本能もまた在るらしい。そうやって人類の地平は広がっていく。良いのか悪いのか…
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・劉慈欣「流浪地球」(角川文庫)を読んだ。その解説の加藤徹 「SFと『科幻』ー劉慈欣文学の魅力」に次のやうな文章があつた。中国は科幻系の国である。「『科幻』系の国々で は、たとえ虚構でも、そんな空想を発表した作家は、たたではすまない。」(301頁)そんなとは、例へばゴジラの東京襲撃である。これだけで恐ろしくなるのだが、中国の作家はそれでも書いてきた。どのやうに書いたか。「劉氏の出世作『三体』の物語は『文化大革命』から始まる。(中略)米ソをさしおいて、社会を恨む中国人が最初に宇宙人と交信する、というあの物語の冒頭は、科学的には不自然だが、科幻としては正しい。『文革』は、中国共産党があやまちであったと失敗を認めている、唯一の時代だからである。」(301〜302頁)以下、本書の短編について述べる。「『呪い 5.0』は中国の科幻小説では珍しく、実在の中国本土の都会が火の海になる。が、ここにもクレバーな配慮が周到にめぐらされている。まず、舞台は北京ではない。」(302頁)以下、「この作品に限っては筒井康隆氏のスラップスティック小説や横田順彌氏のハチャメチャSF作品のようである。」(同前)とか、「自分自身を作品の中に滑稽な描写で登場させた。」(同前)とあり、これらの「どの一つの要素が欠けても『幻想』ではなくなる。ギリギリの作品なのだ。」(同前)といふ。私が読んでも政治的には何とも思へないのだが、実は相当な配慮のなされた作品であつたらし い。それを「クレバー」と言ふ。これまでいくつかの作品で危なさうなのがあつたが、それらも同様の配慮のなされた「クレバー」な作品であつたらしい。かういふことまで考へて書かねばならないのは相当な苦痛であらうと思はれる。もしかしたらいかに当局をだますかの知恵比べをしてゐるのかもしれない。これは身に危険の及びかねない知恵比べであるが、これも考へ方で、「科幻は、現実社会との間合いに対する深謀遠慮を余儀なくされる反面、想像力の面では幻想の特権をフルにいかすことができる。」(同前)といふことにもなるらしい。それが現代中国のSF作家である。
・私は中国における政治と文学の関係にこだはつてSFを読んできたと思ふ。SFではないが、莫言はリアリズムで書い てきた。だからノーベル賞ももらへた。それに値する作品でもあつた。SFの場合はリアリズムではなく想像力の世界と なる。創造=想像である。「呑食者」は他の短編集にあつた作品の前日譚である。ここで呑食者たる大牙は、地球初お目 見えの時、「ヨーロッパの首脳のひとりをつかむと(中略)優雅に口に放り込み、咀嚼しはじめた。」(107頁)のだ が、これも中国人でないところに意味がある。いかに国連でも事務総長や首脳が中国人で、それが食はれたりしたらそれこそ「たたではすまない。」その一方、大牙の相手たる大佐(300年後!には元帥)は“冷静なアジア人”である。中国人としても良ささうだが、これは分からない。こちらは国連首脳とは違ふ。ここにもそんな「クレバー」な配慮があるのであらうか。中国でSFを創作するのはかくも大変だといふことである。さうするとこれまで危なさうだと思つた作品で、英語版しか出てゐないやうなのはやはり「クレ��ー」ではなかつたといふことか。中国や中共を思はせてはいけない。これだけなら易しい、たぶん。しかし、そこを超えると様々なことが出てくる。ちよつとしたことでも危ない。「子どものころから『愚公移山』を暗記してきた中国人にとって『流浪地球』の世界観は、すんなり胸に響く。」(304頁)さういふ世界に生きてきた人であつたのかと思ふ。
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劉慈欣の短編集。「地表にロケットエンジンを林立させて地球を太陽系から脱出させる」とか「遺伝子工学を駆使して人類をミクロ化」とか「異質な異星人が地球来訪」などアイデア豊富な話の詰め合わせだが、同時刊行の短編集「老神介護」と同様に首を傾げてしまう設定も散見され、全体としては「特に記憶に残るものはないかな」という印象。
特に、短編「山」に「そうはならんやろ」感が強い。
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なんというか、懐かしい読後感。
SFにちょっとはまりはじめた頃に
読んでワクワクした「非日常」な感じの。
普通に考えてありえないもんね。
地球に推進装置つけて太陽系脱出するとか。
それが出来てしまえるように思える
この押し切り方!
いいわ。
でもポイントはガジェットじゃなくて
それに関わる「人類史」のウェットさ。
わかっているのに涙腺を刺激する。
という表題短編『流浪地球』の他
地球が家畜牧場化されそうになる『呑食者』や
宇宙開拓物語『中国太陽』のノスタルジー
『ミクロ紀元』は、ちょっとピ○ミン想像し(笑)
『三体』読む前の助走として良かったかも。