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初めて中国人作家が手掛ける作品を読んだが、普段映画や漫画などでもSFは全く観ないため想像することが難しかった。
だがSFだけでなく、中国の内情についても交えて描かれているためか、興味が薄れることはなく読み終えることができた。
今生きているこの時代のことを考えるだけでも頭を抱えてしまうのに、近未来の可能性を想像して作品を作れるのは見事だと思えた。
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期待を裏切らず、劉さん独特の発想と設定で面白く読めた。話はSFでも、なぜか読みながら現実世界に起きていることになぞらえてしまう。
同じ短編集でも「円」を読んだ時の衝撃に比べると、少し物足りないかもしれない。「円」は北欧ミステリーに出会った時のような、ダークさがあった。今回はよりSFらしい?タッチに感じた。
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先に読んだ「流浪地球」に負けず劣らず、と言うか上下巻のようなものなので当然ながら、こちらもブッ飛んだ発想のSF短編集。タイトルそのままの表題作とハードボイルド風の後日譚「扶養人類」、恐竜と蟻の共存文化があった別の過去を描く「白亜紀往事」、無重力空間での仮想体験の真相が衝撃的な「彼女の眼を連れて」と姉妹編「地球大砲」。壮大でシュールかつシニカル。言ってみれば小松左京×筒井康隆的世界観で、奔放な想像力に圧倒された。「流浪地球」とあわせて読むべき、「三体」以前の著者の魅力に触れられる一冊。
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〝扶養人類〟のハードボイルド感がたまらず、ブレードランナーみたいな世界を妄想してしまった。
宇宙度は「流浪地球」の短編集のが濃いめ。
著者はこういうコミカル?シュール?なのも書けるのがニヤリとしてしまう。
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本としては対となる「流浪地球」より、「老神介護」の方が各話のまとまりが良くて読んでいてわくわくした。
話としては「扶養人類」がいい。シリアス・プロフェッショナル・ダークなSF要素の詰め合わせで100点、更に思いもよらぬ展開が加わわり、もう点数なんか関係ないくらい好きになってしまった。
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・あらすじ
三体作者による短編SF集。
5つの短編が入っていたけどどれも面白かったし、要素要素に三体と通ずるものがあった。
特に好きだったのが扶養人類と彼女の眼を連れて、の二篇。
老神介護→地球文明を作った20億柱の神が宇宙船に乗って地球にやってきた。目的は地球人とともに地球で老後を過ごすこと。全世界で神を扶養するための法律が制定され各家庭で1柱の神と同居することになるが、両者の関係は徐々に悪化していく。
扶養人類→老神介護の続編。神がいなくなって三年。神が作った地球型文明の兄、第一地球の人類が地球へ移住にやってきた。
そんな中滑空という殺し屋は社会的資産液化委員会という世界の大富豪で構成された委員会の人間に3人の人間の暗殺を依頼される。
白亜紀往事→6500万年前の白亜紀には高度な文明を持った恐竜文明と蟻文明があり、双方は相互補完関係にあった。だが恐竜同士の対立から恐竜文明vs蟻文明に発展。そして白亜紀が終わるまで。
彼女の眼を連れて→宇宙空間での生活が当たり前になった時代。休暇を地球で過ごす為にとある女性の目(センサーグラス)をつけてタクラマカン砂漠へいく主人公。
地球大砲→人工冬眠から目覚めた沈は、地球環境を破壊した「南極裏庭化計画」の責任をとれと理由もわからないまま奈落の底へ落とされる。
彼女の眼を連れて、とクロスオーバーしている?作品。
・感想
老神介護→ひとだけでなく文明、恒星、宇宙ですらいずれ滅び(死)へと向かっていく。それは神ですら逃れられない真実。
創造主という意味での神ではあるけど、よくある万能の存在ではなくSF的捉え方での「神」の存在が面白かった。
あと兄文明である第一〜第三人類文明の辿った経緯は完全に黒暗森林理論で三体の要素を感じた。
扶養人類→神が警告した第一地球文明の宇宙船に乗っていた人類は第一地球から逃げてきた人々だったという真相が面白かった。たった一人の富裕層、世界が一人の人間のものになってしまったディストピアもの。
その理由も技術の発展に伴う富の集中、加速する格差という「なんだかあり得そう」なところが怖く感じたり。
滑空という暗殺者のキャラクターも良かった。
白亜紀往事→抑止力の必要性は理解してるけどエスカレートしていくのではないかという恐怖はある。
文明が発展していくためには「好奇心」や「欲」が必要ではあるけど、欲がエスカレートし暴走、制御できなくなってしまうことの危険性などを描いた作品なのかな。
彼女の眼を連れて→読後感が切なくてすごく良かったー。この話が1番好きだった。宇宙の果てではなく地球の中心に取り残された一人の女性の物語。
もし自分がこんな環境に置かれたら当然発狂してしまうわ…
地球大砲→まさかこの話で落日6号(彼女の〜の女性が乗っている地層探査船)が出てくるとは…!そこに繋がるとは!!
ただ一人地球の中心に残された女性の孤独も少しは慰められてたのかな。
人工冬眠から目覚めた主人公の沈が、中国から南極を貫くトンネルに落とされながら真実を語られるっ��いう設定が面白い。
でもどの被害者も逆恨みなんじゃないか?って感じがした。
確かに最初の事故の被害者が沈淵を恨むのは理解できるけど…。
沈淵が晩年トンネルを行き来しながら娘に語りかけてたっていうのがまた切なかったな。
どの話も面白かったし、作者の他の短編集も読んでみよう。
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⚫︎感想
「三体」の著者によるSF短編集。
二十億もの老神が地球に降りたって、人間の世話になるという話から始まり、全体を通していろんな視点を持たせてくれ、最後までたのしませてくれた。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
●突如現れた宇宙船から、次々地球に降り立った神は、みすぼらしい姿でこう言った。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかの」。神文明は老年期に入り、宇宙船の生態環境は著しく悪化。神は地球で暮らすことを望んでいた。国連事務総長はこの老神たちを扶養するのは人類の責任だと認め、二十億柱の神は、十五億の家庭に受け入れられることに。しかし、ほどなく両者の蜜月は終わりを告げた――。「老神介護」
●神文明が去って3年。地球で、もっとも裕福な13人がプロの殺し屋を雇ってまで殺したいのは、もっとも貧しい3人だった。社会的資産液化委員会から人類文明救済を依頼された殺し屋は、兄文明からやってきた男から、別の地球で起こった驚愕の事態を訊かされる。「扶養人類」
●蟻と恐竜、二つの世界の共存関係は2000年以上続いてきた。恐竜世界の複雑なシステムは、蟻連邦によって支えられていたが、蟻世界は恐竜世界に核兵器廃棄を要求、拒絶されるとすべての蟻はストライキに突入した。「白亜紀往事」
●僕が休暇を取る条件は、眼を連れていくことだと主任は言った。デイスプレイに映る眼の主は、若い女の子。ステーションにいる彼女の眼を連れて、僕は草原に旅行に出かけた。宇宙で働く人は、もうひと組の眼を地球に残し、地球で本物の休暇を過ごす人を通し、仮想体験ができるのだ。「彼女の眼を連れて」
●74年の人工冬眠から目覚めた時、地球環境は一変していた。資源の枯渇がもたらす経済的衰退を逃れようと、「南極裏庭化構想」が立案され実行された結果、深刻な事態が起こっていたのだ。「地球大砲」