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レポートに必要だったので読んだ作品。
阿部公房の作品は、高校の頃に授業で「赤い繭」を読んで以来なのですが、この人の作品は何とも言えない感があって好きです。
果たして顔の役割って何だろう?コミュニケーションの手段?
この作品を読むと、結局顔というのは自分を確認するための手段だという気がします。自分を認識するための一番簡単な手段。
自分の存在を忘れないための手段。
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悶々と性欲に悩む主人公が自己正当化に励むお話。途中でオチが見えてしまった・・・。
『顔』のもつ意味を考えさせられる。そんなこと真剣に考えたことなかったなぁ。
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安部ワールド満開。その独特の文章表現がクセになる。内容は、「顔論」。(笑)人間は何でもって人を判断するのか、何でもってその人の存在を認知するのか。もし、将来自分のだんなさんが後天的に一生治らないケガを負ってしまったら、私は彼を一生心から愛する事が出来るだろうか?出来ると信じたいけど、答えに一瞬戸惑ってしまう自分がいる。想像してしまうから。その想像は、想像上のものであれ視覚的なもので、それは結局彼の顔を想像して判断してしまっている自分がいる紛れもない証拠だ。人間の存在価値の根底を問う1冊。
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整形手術を施した男が、「他人」になりすまして、妻を誘惑するというショッキングでエロティックな物語。映画化もされた。
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グロテスクです。安部公房の中ではそれほど面白くもない様な気がします。対人関係について考えさせられますね。
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小説自体が手記である、というのは箱男と同様の手法であり、ガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」等と同じ特徴を持つ。読者に話の筋を追わせるのではなく、読者が与えられた情報から物語を構成することで、より話にリアリティを持たせている。途中、医学的な話題も飛び出しており、安易にこのような事をすると「作者の知識のひけらかし」のようになる事があるのだろうが、安部公房はそのような事態に陥ることもなく、むしろ話により現実性を持たせることに成功している。他にも、副詞がほとんど出てこない等、様々な試みが見て取れ、小説を書くことについて非常に研究熱心であることが伺える。
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やっぱ安部公房の比喩はすごい。
えぐってくるねえ。それだけに読後感は重いけどさ。古さを全く感じない。
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この本を読みながら寝てしまったとき、自分の仮面が剥がれる恐ろしい夢を見た。でも、仮面が見破られるとかバニラ・スカイのような恐怖じゃなく、この小説の一番こわいのは、素顔と仮面とその役割が分からなくなってしまうところだろう。仮面を他人との通路にしようとしていた意図は、いつの間にか仮面が一人歩きすることで覆され、その仮面で騙すはずの妻は、仮面として葬り去られたのは実は男の素顔だったと非難する。顔とは何なのか。顔と共に失ったものは、仮面と共に失ったものは何なのか。
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液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。
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自分の顔を失った男は、その苦悩から逃れるため、プラスティク製の仮面を製作し”他人の顔”を手に入れる。
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ものすごい量の科学的記述には頭がついていかなかったけど、気迫は充分伝わります
いいところで終わってるのが更に良かった
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人間にとって『顔』がどれだけアイデンティティを支えているかが強烈にわかります。どんな顔でも顔があって初めて人と認められるのです。
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主人公の手記としての小説である。だが、その内容を上の空で聞いているような不安定さがあり、そのうえ手記として見るには「あれ?」と思うような所もある。あっちに行ったと思えばこっちへ行き、ふらふらと方向性を見失う文章という名の主人公の理屈と発見と復讐心。手記の内容自体が全部彼の妄想であって、最後の妻の手記さえも1つの手記の中の文であるような錯覚さえ起こす。
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事故により顔を失った主人公が、失われた妻の愛を取り戻すために「他人の顔」をプラスチック製の仮面に仕立て、妻を誘惑する男になり回復を目指す。
安部公房作品の中でもこの作品は文体が非常に判りやすく書かれている。その理由としては恐らく、主人公である男の「手記」としてこの作品が位置づけられていること。つまり男の性格を文体で表しているということと、仮面を作る工程が科学的記載に基づいて精密に書かれているという点からそうなるのだろう。
果たして人間にとって「顔」とは何なのであろうか? ただの肉体の一部なのか? それとも? 顔を失うことで心をも失った男の闘病記である。
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主人公は実験中に液体酸素をかぶって顔を失う。「顔がない」ということについての考察がいやというほど行われるが、これがなかなか興味深い。「箱男」や「砂の女」にも共通する、「覘くこということ」に対する執着もまたみられる。
痴漢に関する考察もまた特別に面白い。これは一方的に覘く、ということに重きを置く阿部公房ならでは。
結末は、今後の激動を予感させながらも、ちゅうぶらりんの状態で読者はほうっておかれる。が、綿密に立てられたそれまでの構成を元に、その後をあれこれと想像するのもまた一興である。