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西洋哲学の変遷がじつに丁寧に解説されている。出版は古いが、西洋哲学の歴史を全体的に知るのにとっても役立った本。細部は難解なはずだが、とにかくその要点をわかりやすく噛み砕き、かつ高レベルのままコンパクトに読めるということにある意味感動。著者はイタリア思想に造詣が深いようで、日本ではマイナーなイタリア哲学者も幾人か解説しているのもうれしい。
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目 次
まえがき
第1章 古代前期
1 古代ギリシアこそ西洋哲学の源泉
2 ソークラテース以前の哲学
3「汝自らを知れ」―ソ-クラテースを中心とする対話篇
4 魂が神の国を見ていたこと―対話篇『メノーン』
5 偉大なことは狂気によってのみ生ずる―プラトーンの書物のなかから
6 哲学の原型をつくろうと努力した哲人たち
第2章 古代後期
1 実体といわれるものは何か―アリストテレースの特色
2 実践哲学とその学派―ヘレニズム前期
3 宗教哲学と4人の学者―ヘレニズム後期
第3章 中世
1 中世は暗黒であったか
2 ダイナミックな時代としての中世
3 教父の時代―理論的に教会を守った人
4 ニッサのグレゴーリオス―ギリシア教父
5 アウグスティーヌス―ラテン教父
6 大学の問題―中世の偉大な制度とアラベール
7 トマス・アクィナス―中世最大の大学的な哲学者
8 個について考えた人びと
第4章 近世
1 ヒューマニズムの時代
2 フィレンツェのプラトーン・アカデーミア
3 自然科学の中心地・パドワ
4 16世紀のヒューマニズム
5 17世紀の哲学(1)―デカルト、ホッブス、パスカル、スピノーザ
6 17世紀の哲学(2)―ライプニッツ、ロック、バークリー、ヒューム
第5章 近代
1 大陸合理論と英国経験論の統合―ルソーとコンディヤックの思考実験
2 近世哲学を近代につないだ哲学者カント
3 カントの三批判書―『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』
4 ドイツ観念論―フィヒテ、シェリング、ヘーゲル
5 人間への志向回帰―シェリング、キェルケゴール、フォイエルバッハ、ヴィーコ、ニイチェ
第6章 現代
1 20世紀初頭の哲学
2 新倫理学の台頭
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録音した講義を文字に起こした西洋哲学の通史。近世のヒュームまでで全349ページ中278ページを占め、古代と中世に比較的重きが置かれている。
そのためもあって、近代以降の記述はかなり圧縮されており、難解。逆に、近世までは、分かりやすく面白い。ことに中世について、一般に暗黒時代と言われているが、実はそうではないという指摘は興味深かった。
また、哲学者の学説の説明だけでなく、たとえば大学の始まりと歴史、ヒューマニズムという言葉の由来についてなど、関連するトピックの記述もいろいろあり、面白く読めた。
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とても読みごたえがあった。高校時代に悩みを通して哲学に心惹かれ、カントの乱読から入り、プラトン、レヴィストロース、西田幾多郎と恥ずかしいほどの直感任せで、哲学が何たるかも10年ほど分かっていなかった時も無駄だとは思っていない。世界での異文化経験と宗教世界への没入と、教育分野への従事によって拡がった風呂敷の端々を手繰り寄せるように、だんだんと一つのものへと収斂されてくる過程を感じているからである。西田幾多郎の哲学概論を読みそれでも哲学の全容と目的としていることが分かり、今回の通読によって歴史との関わりを深く知ることができた。
本書の内容にはあえて触れず、しかし今後の哲学の進むべき方向性に希望を一片抱いたところで終了である。付箋だらけなのでもう一度、必ずもう一度は目を通したい。
12/2/23
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。アドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4283661.html
「この本は哲学の初学者向けで大学の教養レベルで、古代から現代までの哲学の変遷を知ることができる。この本をきっかけに、哲学の知識の幅を広がてほしいと思う。」
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[ 内容 ]
本書は、1冊で完結する西洋哲学通史として、重要な哲学者の、それも必要不可欠と思われる考えに絞り、古代・中世・近世・近代・現代の区分に従って問題の展開が論理的に理解できるよう書かれています。
[ 目次 ]
第1章 古代前期(古代ギリシアこそ西洋哲学の源泉;ソークラテース以前の哲学;偉大なことは狂気によってのみ生ずる―プラトーンの書物のなかから)
第2章 古代後期(実体といわれるものは何か―アリストテレースの特色;実践哲学とその学派―ヘレニズム前期;宗教哲学と4人の学者―ヘレニズム後期)
第3章 中世(中世は暗黒であったか;教父の時代;ニッサのグレゴーリオス―ギリシア教父;アウグスティーヌス―ラテン教父;大学の問題―中世の偉大な制度とアラベール;トマス・アクィナス)
第4章 近世(ヒューマニズムの時代;フィレンツェのプラトーン・アカデーミア;17世紀の哲学―デカルト、ホッブス、パスカル、スピノーザ;17世紀の哲学―ライプニッツ、ロック、バークリー、ヒューム)
第5章 近代(大陸合理論と英国経験論の統合―ルソーとコンディヤックの思考実験;カントの3批判書―『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』;ドイツ観念論―フィヒテ、シェリング、ヘーゲル;人間への志向回帰―シェリング、キェルケゴール、フォイエルバッハ、ヴィーコ、ニイチェ)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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今は亡き美学の大家、今道先生の講義録。
ピコとバウムガルデンが専門の方なので、古代からルネサンスくらいまでがメイン。それまでじっくりと解説して、カントが終わったあたりから一気に現代まで駆け抜ける。カント以後に関しては別の入門書が必要かもしれない。
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色々と読書が散らかってきたところで、どうもやっぱり一度真面目にプラトン、アリストテレスからやらなければどうもならん、というところがあって、でも、そこからデカルト、カント、ヘーゲルなんてやってったら10年かかる気がしたので、散々悩んだ挙句、西洋哲学史を何冊か読んで、それでばっくり大枠を掴んで気になるところがあれば深掘りするか、という回避策をとることにした。いや、10年かけるべきなのか?そうなのかもだけど僕は別に哲学をしたいわけではないのでそんなことやってたら寿命が500年くらい必要になるんで。
1冊目はこれ。
アマゾンで西洋哲学史で検索すると筆頭に出てくる。
以前、西洋哲学史というものでは、講談社選書メチエの四巻組のものを読んだけども、はっきり言って全然意味がわからん、読書時間の膨大な無駄遣いになったので(そもそも基礎知識も希薄で無謀な試みだったというのもあるけど)何を読むかはかなり慎重に選んだ。まずはわかりやすそうなものから。
質料は、元々の言葉は材料だけど、それだと日常語過ぎるから質料と訳されてる、みたいな解説が気に入った。
そうだよね、アルケーとかギリシャ語まんま使ってみたかと思ったら質料とか変な訳語を使ってみたり、そういう言葉の作り方が嫌いなんだよね、哲学界。
権威のための難解さなんて実にくだらない。
そんなやつらには数学や物理学からやり直して欲しい。e=mc2に権威づけのための難解さなんて全くないし、誤読のない正確な記述であって、それでいて圧倒的に真実に近い、そういう形にもっていかないと、元々、哲学するには曖昧過ぎる構造の日本語で、いつまでたっても中途半端で曖昧な訳語のつくりで気取ってやってんじゃ日本語哲学は学問ごっこ。ウィトゲンシュタインの指摘とは違う意味でただのゲーム。それが日本らしいかといえば、確かにそうなのかもしれん。無駄に漢文で書くことで公式ぶってた平安人と、アプリオリにどーのこーのと言ってるときのメンタルには似たものがあるのかもしれない。
と、まぁ大いに脱線しながら読み終わる。
一気に読めるわかりやすさ。カントのところがちょっと読むのがめんどくさかった。
ということで哲学史に良い入り方ができた。次の哲学史にいこう。
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西洋哲学史の入門書です。著者の講義をもとにしているため、口語調で書かれており読みやすいように感じられます。
約350ページの分量をもつ本書では、約半分の180ページほどが古代・中世哲学の解説にあてているのが特徴といえるように思います。これにつづく内容は、近世哲学が約100ページ、近代哲学が約50ページ、現代哲学が約30ページとなっています。
自分たちが生きている現代に近い時代の動向が大きく見えがちなのは哲学史にかぎらないでしょうが、本書は西洋哲学の根幹を形作った古代・中世についての紹介が多くなされており、西洋哲学史の全体像を見るときにわれわれが用いている拡大鏡の倍率を補正するためにも役に立つのではないかと思います。
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哲学初学者の私にとっては、平坦な口調で書かれていたので分かりやすかったと思う。繰り返し読みたいと思う。
それなりにレベルの高い人からすると、物足りないのかもしれない。
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哲学史の講義を文字起こししたもので、口語調で書かれているため読みやすい。しかし、近代以降の哲学史は記述が簡略化されているので、難解な語句や概念がそのままサラッと流れるように述べられるだけで、各哲学者の思想の特徴が理解できなかった。