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力道山を刺した男 村田勝志
著者 山平重樹
「力道山を刺した男」として事件直後、日本一有名なヤクザになった村田勝志あの日、あの場所にいて、あの男と遭遇した運命……力道山と村田の間にはいったい何が起きたのか?国民的ヒーロー刺傷の烙印を生涯背負った男と娘の激闘譜。世間では父のことを、力道山を刺殺した犯人のように誤解している人が多かった。まるで一方的に父を、力道山殺しの極悪人みたいに決めつけている人が、なんと多いことか。それが彼女には我慢ならなかった。(本文より)傷害致死罪による服役を終えた村田勝志はその後、住吉会の強豪・小林会において幹事長、理事長を歴任。銀座の重鎮として睨みを利かせ、渡世を全うした。昔気質のヤクザそのものの豪快なエピソードとともに、これまで多く語られることのなかった真相が、力道山没後六十年目に明かされる――。
力道山を刺した男 村田勝志
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力道山を刺した男 村田勝志 「力道山刺傷事件」を背負った父と娘の激闘譜
2023/06/09 18:45
また力道山の話しかと思って見過ごすと大変な損になる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せんじゅ色男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
力道山に関してはすでに多くの本が出版されていて未亡人の証言もYou Tubeで見ることができる。また村田勝志本人や娘の篠原光のインタビューもあるが、本書はこうした多くの資料を参照しながら読むことでそれぞれに欠けている部分を見つけながら読むことができる。
力道山の事件に関してやや不可解なのは遺族の田中敬子さんや息子の百田光雄などがそれほど村田勝志に対して恨みのような感情を抱いていないように見えることだ。
この本を読んで村田が正当防衛を主張したということを知ったが、遺族にしてみれば日常の力道山の振る舞いを知っているので村田が力道山に暴力を振るわれ自分の身を守るために刺したということに遺族としても一定の理解を持ったのではないかと推察される。
本書において力道山の事件は3分の1ほどであるが、個人的に注目されるのは力道山を刺す前からの村田の生涯が銀座を舞台に記録されていることである。
個人的には詩人の菊岡久利が何度も出て来て私はこの人のことは洲之内徹のエッセーで知ったが洲之内によれば菊岡は指を詰めておりヤクザとつながりがあるようだとしか書かれていなかったはずで自分が知る限り本書は菊岡久利という詩人がヤクザであったことを記した貴重な資料ということになる。
銀座のヤクザの世界についてはあまり本が書かれている記憶はないが、この点に絞って書かれていたらというのは自分の希望であるものの、村田の女性関係や娘の人生も勿論読んでいて面白い。
詳細は本書を読んでもらいたいが、力道山が短い人生を終えたのとは対照的に長生きしたヤクザの人生は堅気の者にはとても真似できないものであるだけに惹き付けられるものを感じる。
You Tubeにある篠原光のインタビューでは村田はヤクザであったため国保にさえ入れず全て入院治療費は実費、暴対法で葬儀さえ行えなかったと言う。
この点が記されていないのは残念なので、僭越ながらここで補わせて頂く。あえて4点にしたのはそこだけが理由である。