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濡れる女官能小説家
著者 鷹澤フブキ
執筆で火照った女性作家の肉体を癒すのは、若手男性編集者の務め…!
出版社に勤める青年編集者の悠生は、原稿を受け取るため女流作家に誘惑されるまま、彼女たちと快楽に耽る日々を送っている。
肉欲を滾らせるベテラン熟女作家、方向性に悩むコスプレ人妻小説家、トップ女流作家の地位を争う女王様的美人作家、そして作品のために性の快楽を知ろうとする新人女性…。
気鋭の女流作家が虚実おり混ぜて描く誘惑ロマン長編!
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濡れる女官能小説家
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2019/08/15 22:18
女流官能小説家が内幕を描いた!?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
女流作家が女流作家と編集者の関係を官能小説にする灯台下暗し的な意外性は悪くない。ただし、どこまでがリアルでどこまでが官能ファンタジーなのかで読み手が惑う可能性はあるだろうし、何より同業者の目がある。その意味では思い切った題材を取り上げたものと推察する作品である。虚実入り混じった内容は、おそらく官能面が「虚」の部分で、日常面が案外「実」なのであろう。
若手の編集者である主人公が担当する女流作家は予備軍も含めて4人。その4人との関係を描くテイストなので、1人ヒロインともイメージできるタイトルの本来は「濡れる女官能小説家たち」である。そして、既に人気と実績を備えた熟女作家2人と、これから売り出そうとしつつ執筆に思い悩んでいる2人に大別されている。熟女の2人は当然のように肉食の2人でもあるため主人公はさんざんに搾り取られ、他方の2人には執筆の指南を名目に、やや主体的に関係を結んでいく構成とる。ならばヒロインは2人で良かったのでは?ともなり兼ねないが、例えば人妻と独身といったように、2つのタイプをさらに広げるための4人なのであろう。作家と編集者の垣根を越える後ろめたさを覚えながらも牡の本能には抗えない主人公である。
単に渡り歩くだけのストーリーを回避すべく熟女2人にはライバル関係の丁々発止があり、他方の2人には官能ジャンルの細かな違いを設けている。それでも、中には取って付けたような違和感が残る場面もあったりして、物語性を高めると言うよりはサブエピソードに留まっている感じか。また、恋に発展しそうなところも一歩手前で留めているのは、その最後の一線を(肉体的には越えているが)ギリギリ保つことで女流作家と男性編集者の関係が実際ここまで進展することはまずないと示しているようでもある。
この作者には抜群の官能描写という強みがあるため、仮に物語へ官能を寄せなかったとしても、寄せるべき物語性がたとえ不足だったとしても、それを補って余りある淫猥さがある。本作もそれは健在で、熟女らしい優位性のある誘惑から年若の初心な恥じらいまで幅広い官能場面と描写が興奮を誘っている。身も蓋もない物言いになってしまっているが、それだけの強みだと思う。最初に出てくるヒロインとは初めから関係を持たせておいて早々に官能描写へ雪崩れ込むなど、相変わらずの秀逸さと言える。