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はだかのくすりゆび

著者 艶々

娘の恋人と恋に落ちてしまう人妻の恋愛を描く、妖しくも切ない背徳的ラブストーリー。仲人好きの上司への義理で、娘・摩耶(まや)のお見合いに付き添うことになった戸田翠(とだ・みどり)。見合い相手である松下志人(まつした・ゆきと)から、優しい目をしていると言われた翠は、松下のことを意識するようになって……!?

はだかのくすりゆび 3

税込 681 6pt

はだかのくすりゆび 3

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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.3

評価内訳

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はだかのくすりゆび 1

2009/04/01 15:57

娘の彼氏と関係する背徳を母の視点で描く

6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

20歳の娘を持つ、もうすぐ42歳の母のモノローグで物語が進行するのが特徴的な作品である。クールで堅物な母だが、娘の見合い相手を憎からず想っていたところに主人公から誘われ関係を持つ。この母は淫らな面が全くない、本当に貞淑でウブな女性なのだが、主人公と触れ合うことで変わっていく。モノローグで『壊れていく』と吐露しているように、めくるめく未知の世界に誘われていく様子がじっくり丁寧に描かれていて、これがまた実に艶めかしくていやらしい。娘に顔向けできない秘密を持ってしまったこと、これまで相応に満たされた生活だったが、それは妻として母としてであり、女としてではなかったこと、浮気する夫と自分が、そして主人公が同じことをしている背徳、それでも家庭に囚われた自分に比べて自由な夫を羨ましく思う気持ちなどが次々と独白されていく中で、主人公にどんどんのめり込む母の抗えない背徳の誘惑がドキドキのシチュエーションで官能的に演出されていく。お泊り同窓会と偽って主人公宅を訪れて一晩中交わり続ける場面では、心も体も開発され、既に堕ちている母である。ああ、いやらしい。そして、これら母と主人公の密戯がどんでん返し的な展開を見せて次巻の引きになってドラマを盛り上げる。どうやら生娘っぽい娘の今後の動向が楽しみである。できれば艶々作品で時折見られる「複数の男から狙われるヒロイン」といった展開(これは自分的にツボ過ぎて逆に地雷気味)ではなく、本巻のような限られた登場人物によるコンパクトで濃密な世界で進んで欲しいと思う。

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はだかのくすりゆび 3

2010/07/22 00:03

愛情と欲望は同じものなのか並び立つものなのか

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

前巻のレビューで予想した結末もテーマも大ハズレだったが、それでも登場人物をポンポン増やすでもなく、限られた中でコンパクトに纏めたのは良かったと思う。完結するのは残念だが、これ以上続けても散漫になってテーマがぼやけるだけかもしれない。何より本巻1冊を丸々用いて物語を淀みなく紡ぎ、結末の好みは別にしても最終話できちんと結んだことで本作には得も言われぬ品格が漂ったと思う。

さて、本巻では翠の第2の不倫相手として既出の人物が再登場する。ここで光るのは、翠の淫らな欲望が能動的に暴走するのではないところ。娘の元(?)婚約者志人との背徳極まる関係はエスカレートする一方なのだが、同時に「あー、やっぱり不倫なんだなぁー」という限界、後ろめたさを背景にした愛情と欲望との狭間で悩む展開が持ち込まれるのが生々しくもある。想いが強過ぎて重過ぎるがために男の側が及び腰になったようにも見えるが、このことを通じて、また、第2の不倫相手との再会と情交を通じて愛情と欲望に翠なりの答えを導き出したことが本作のテーマと言えよう。

情交描写については今回もまた秀逸。冒頭から志人との爛れた日々が描かれているが、ここまで志人によってしっかり開発されていながら、第2の不倫相手によってさらに開発されて高まっていく描写が淫猥極まりない風情で描かれていく。ここで面白いのは、密戯が夫の目に触れてしまう、いわゆる寝取られ描写が終盤にあるのだが、別の男に寝取られる夫は当然として、志人との関係を本線として見れば、読み手もまた夫とは別の意味で若干寝取られたような気にもなることである。しかし、あれだけ奥手で堅物だった翠が最後には物凄く成長したようにも見え、何だかやっぱり女って怖いな、みたいな奥深さを、悲哀と艶っぽさと共にしっとり見せてくれた作品だったと思う。

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はだかのくすりゆび 2

2009/09/14 19:24

驚きのどんでん返し展開

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

予想外の展開だった。帯にある『ふたりの関係を知ったマヤもまた…。』が全てを表す驚き展開である。前巻のレビューで予想した娘【マヤ】の「生娘かも?」は上手くミスリードされたようで、「こうきたかぁ……う~ん、やられた」であるが、母【翠】の不貞を理解するため、大好きな母を否定しないため、否定して失わないための行為だったとはいえ、これにより「お子ちゃま」だったマヤが「女」として開花するのは何だか皮肉。しかも特殊な性癖まで自覚してしまうオマケ付きである。翠は翠で、ますますのめり込む様は最早浮気を越えて完全な不倫の域へ。家庭を置き去りにして溺れていくが、マヤの変貌を知って悩みも深める。ここで本巻の良いところは、基本的に悪人がおらず、悶々とした中にも前向きに話が進むところ。マヤの勇気ある真摯な行動によって、この母娘のエピソードは一応の解決を迎える。だがしかし、この物語はさらなる混沌を迎えていくような気がする。今後どのように展開するか読めない。不倫と同時に「家庭」もテーマにしているフシもあるので、最終的にはこの家族が再び絆を取り戻して家庭を再構築できるか?という流れになっていくのではと勝手に想像しているが、そのためには『娘編』とも言える本巻に続いて『夫編』が不可欠であり、何となくそれを示唆するような夫の素振りも無くはない。また、今回描かれなかった、5年前に遡るマヤの「秘密」に至る動機が父、すなわち夫の浮気に繋がるなら、しかもその相手がマヤの友人【夏美】だったりしたら見事に辻褄が合ってしまうのだが……もしそうだったらカオス過ぎるなぁ。連載中であろう『別冊漫画ゴラク』で今どうなっているのか激しく知りたくなる。

ストーリー展開に目を奪われるが、今回も濡れ場はしっかり用意されている。相変わらずの激しくいやらしいヤりまくり描写は期待を裏切らない。

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