電子書籍
子をつれて
著者 著者:葛西善蔵
底本名:哀しき父・椎の若葉
底本出版社名:講談社文芸文庫、講談社
底本初版発行年:1994(平成6)年12月10日
入力に使用した版:1994(平成6)年12月10日第1刷
校正に使用した版:1994(平成6)年12月10日第1刷
子をつれて
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電子書籍子をつれて
2020/04/08 12:50
子を持つ父親は読むべし
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投稿者:にゃっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親とだけで外出した記憶はおありだろうか。
私は一度だけ、父親と二人だけで外出したことがある。
出かけることになった理由は覚えていない、4歳か5歳くらいの時である。
札幌は白石の住宅街を父に連れられて歩いた。
その時にパン屋の店先で飲ませてもらったコカ・コーラの思い出が強く脳裏に焼き付いていいる。
それから時を経て、自分も父親になり二人の娘に恵まれたが、娘とあるいは娘たちとだけで出かけた思い出はただ1回。
たまごっちがブームのころ、ねだる娘二人をつれて神田の街をあるいた。
めざすたまごっちは買えたのか、買えなかったのか。
二人をつれて入ったホットケーキの有名な万惣での光景が印象として残る。
私の父はどういうふうに私を見ていたのか。
さて、この「子をつれて」。葛西善蔵の著作であるが、冒頭の思いをするのも、若いころこの小説を読んだためである。
借金だらけでとうとう借家を出なければならなくなった主人公が、借家を出てあてもなく子供二人を引き連れてさまようクライマックス。
こんな父親でも父親であったと子供たちは未来に思うのか。
自分が父親だったら、子供のためにどうするのか。
自分を犠牲にするか、家族を犠牲にするのか。
どちらを選ぶべきなのかで迷っている若い父親に読んでいただきたい。