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本能寺 完結
著者 池宮彰一郎
織田信長――群雄割拠する戦国の世、尾張の国に時代を凌駕する一人の天才が出現した。目を奪うきらびやかな軍装、常識を超えた鉄砲・長槍の戦術、そして足利将軍の政治的利用から破格の人材登用に至るまで、強烈な美意識と凄まじいまでの発想が、旧体制の既得権一切を破壊し、中世から近世へと歴史の扉をこじ開けてゆく。卓越した才を誇る家臣の明智光秀や木之下藤吉郎の理解さえ拒み、孤高に君臨する主君信長。その心奥に潜む壮絶な精神と雄大な構想に迫る画期的歴史長編。
本能寺(上)
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紙の本本能寺 上
2008/01/07 21:52
信長は自分の後継者を光秀に決めていたのに・・・
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルどおり「本能寺の変」を題材にした歴史小説。
本作では著者の独自の分析による本能寺の変を描いていて興味深い。特に信長が自分の後継者を光秀と明確に決めていた、というもの。信長による虐めが原因で謀反を起こしたなどという俗説はきっぱり否定している。謀反の理由として既得権の喪失を恐れたことを挙げている。信長はキリスト教の伝道師から古代ローマ史を熱心に学び、統一後の日本の体制をローマの共和制にしたいと考えていた。この構想を酔った勢いで近衛前久らの前で話すと、その話は光秀らの耳にも届けられる。天下統一の暁には戦国大名は不要になり、選ばれた国民の代表者が日本を支配することになる。朝廷や戦国武将など既得権益をもつ者らの反発は必至である。光秀も将来は安泰ではない。細川藤孝は彼の最大のライバルである秀吉の耳にも主人の構想を届ける。さんざんにこき使われて、統一なったら捨てられる。毛利氏と睨み合っていた秀吉は信長の出陣を促していたが、彼が出張ってきたら拉致し隠居させ、後継者を秀吉に指名するよう迫るつもりであった。しかも俗に中国大返しと言われる大移動も、謀反した光秀を討つためのものではなく、信長に替わり天下に号令するために予め準備されたものだった。そして光秀は・・。
本作は、信長と光秀が物語の中心的な位置を占める。秀吉や義昭も存在感はあるが、ここでは脇役に過ぎない。彼らよりも重要な意外な人物がいる。それは義昭を信長に引き合わせた人・藤孝。彼は義昭とは腹違いの兄弟であったという。結果的に藤孝が光秀に謀反をそそのかしたことになっている。結局、藤孝は光秀を支援することはなかったが、藤孝は信長を廃した後を、どうしようとしていたかは謎である。
本能寺の変の真の首謀者は誰か?といった謎解きが昔から語られ、様々な説が説かれているが、本書は藤孝黒幕説とも言える内容で面白かった。
紙の本本能寺 下
2023/08/06 17:35
仮想戦記
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
織田信長の政権構想が、あまりにも戦国当時 そして 江戸時代を通した一般常識から飛躍しすぎている。ほとんど妄想レベルである。これでは織田信長の部下たちは誰も理解しついて行こうとはしないだろう。現実に日本国において部下たちに領地を与える封建制度から、中央集権制度に変わりのは、二百数十年後のことなのだから。新解釈としては面白いが、仮想戦記レベルだな。
紙の本本能寺 上
2023/08/06 17:34
小説というよりは
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻の書き出しから半ば過ぎまでは剛直な文体の本格歴史小説 というストーリー展開だったのでどんどん楽しく読み進めていった。ところが中段から 旧日本軍への批判などが始まり小説としての面白さが大いに減じてしまった。物語の途中で演説を始めてしまうという悪癖はヴィクトル・ユゴーをはじめ司馬遼太郎などでも随所に見られるが、小説というよりは史談という気がして今ひとつ好きになれない。