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6件
墓地を見おろす家
著者 小池真理子
新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒なマンションに移り住んだ哲平一家。 問題は何一つないはずだった。ただ一つ、そこが広大な墓地に囲まれていたことを除けば……。 やがて、次々と不吉な出来事に襲われ始めた一家がついにむかえた、最悪の事態とは……!? 衝撃と戦慄の名作モダン・ホラー。
墓地を見おろす家
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2017/09/30 11:43
ゾッとする
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投稿者:@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
マンションの地下に「何か」がいて、じわじわと日常生活を脅かして行く。
仕事も家庭も精力的な夫・仕事をしながら可愛い娘の子育てを楽しむ賢く美しい妻、という、いかにも理想的な一家が、「何か」と「逃げるに逃げられない状況」に徐々に追い詰められて行くストーリーです。
新築マンションで新生活を始めたばかりなのに、不穏な出来事がたびたび起こる。
それがポルターガイスト的なものなのか気のせいなのか判然としないまま、日常の違和感と不安感が無視できないレベルにまで膨らんだ時の恐怖と拒絶感がリアルで、同時に、理想的に見える夫婦の過去に潜む業と昏い影がつきまとう描写も恐怖を増しています。
物凄く悪い事が起こりそうな予感がするのに、逃げられないという不安と恐怖が最後の最後まで煽られます。
かなり以前の作品ですのでやはり若干時代感の差は感じますが、湿度の高い和製ホラーを好む方は読んで損はないのではないかと思います。
何者が何をしたかったのかという部分が判然としない、すっきりとしない部分が逆に恐ろしく、解釈の幅が広がる部分でもあると思うのですが、恐らくこの辺は好みによって評価が分かれるのではないでしょうか。
作者さんは恋愛小説とともにミステリーやホラーの名手で、個人的にはむしろ後者の方を好んで読んでいます。特に短編は秀逸だと思います。
しゅるしゅる、贅肉など、現実の狂気からこの世ならざる者の話まで、現実の隙間にある底の見えない深淵を覗くような感覚に陥らせてくれる。
鈴木光司氏の「リング」がブームになった折、この作品も映像化されるだろうなとぼんやり思っていましたが、未だになっていない(?)のがちょっと意外です。ロケーションもほぼマンション内ですし、上手に映像化すると限られた予算でもかなり怖く仕上がるような気がします。
墓地を見おろす家
2014/10/23 15:40
恐怖がじわじわと押し寄せます。
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投稿者:ジュン君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語は平凡な一家の引っ越しから始まります。普通のマンションながら、隣に有る墓地の違和感タップリな描写に今後の展開が期待できました。読み進む内に、これでもかと恐ろしい出来事の連続で、手の跡が付く箇所は、まるで映画でも観ているかの様な錯覚を覚えました。最後まで飽きさせない文章はさすがです。日常と非日常が交錯するような作品で、とにかく、怖かったです。
墓地を見おろす家
2004/07/25 02:24
日常に潜む恐怖
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
…どうも、ホラーっていうのは怖くてね。(^_^;) ミステリーではどんなに怖くても最後には論理的な説明が付いてどこかホッと出来るのだけど、読み終えても正体不明の出来事に何の解明も出来ず解決すら出来ない怖さも持っているホラーですからねぇ。
新築マンションに4歳の娘を持つ夫婦が引っ越してきます。格安の筈で隣が墓地、反対方向に火葬場と誰でも怖じ気づきそうなマンション。14世帯入居出来るのにまだ半分も埋まっていないマンション。それどころか、一世帯、一世帯と減っていくマンション。そんなマンションの8階に移り住んだ家族に恐怖が少しずつ広がり始めるのでした。
小池真理子のミステリーにも出てくる日常と非日常の交差。日常に忍び寄る非日常はいつでもコワイのです。暗闇の夜よりも明るい日中のコワさってまた別物ですね。誰も居ないマンションって誰も居ない学校の怖さがあるようです。むしろ墓地なんかいらなかったかも知れません。精々、大昔の墓地の後とか、刑場のあととか、そんなもので良いわけで、ごく当たり前の日常のほうが怖かったような気もします。さて、恐がりなのに恐がり好きなボクとしては、例のごとくたっぷり怖がりまして作者の思惑通り、夜中のトイレは行かれませんでした。(^_^;)