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2件
いい部屋あります。
著者 著者:長野 まゆみ
大学進学のために上京した鳥貝一弥17歳。東京でのアパート探しに行き詰まっていたところ、
いい部屋があると薦められて訪ねた先は高級住宅街の奥に佇む洋館だった。条件つきだが家賃も破格の男子寮だという。共同生活を営んでいるのは揃ってクセのある男たちばかり。先輩たちに翻弄されながら戸惑いつつも、幼い頃の優しい記憶の断片を甦らせ、自らの生い立ちと向き合っていく鳥貝。艶っぽくて甘酸っぱい極上の青春小説!
いい部屋あります。
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2018/01/11 23:26
やっぱり大好き
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いちご - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みはじめてすぐに白いひつじだと思い至りました。だけど先を読みたくて、読み進めて最後には涙もろくなってしまった主人公の様に涙がポロポロこぼれました。長野先生の本との出会いは白昼堂々でした。何年前になるのかな?最初の出会いから今もずっと大好きです。
いい部屋あります。
2017/11/14 00:18
長野ワールド
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:荒夷 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中には、ひととは異なる世界ーーひとよりも多くの“モノ”が存ずる世界ーーが見えているのではないだろうか、と思える作家が幾人かいる。
長野まゆみさんもそのうちのひとりだ。
常人の私には見ることのできない世界が長野さんの目には写っているのだと思う。
そして彼女は「物語」という形で、常人の私には知ることのできない世界での出来事を教えてくれるのだ。
長野さんの作品は幻想的でリアル。
それが長野さんの作品の魅力のひとつであることは間違いない。
今作「いい部屋あります。」もそんな心積もりで読み始めた。
以下、やんわりとネタバレを避けて書いていきたいと思う。
読み始めてじきに、ほくそ笑む。
今作も長野作品の例に漏れず、不可解な出来事。謎めいた登場人物のオンパレード。
少年から青年への転換期際にいる主人公たちの、途上であるが故のもどかしい不安定さ、心許なさが作品の不可思議に拍車をかける。
そして、現か幻か、妖かしか……と惑わせる、思わせぶりなキャラの存在にすべてが誠しやかで、ぜんぶが虚構のように曖昧に滲み、期待は否応なく高まっていく。
物語は、謎に謎が積み重ねられ、こんがらがりまくってクライマックスを迎える。
やがて、大小様々な謎が見事に解かれ、ひとつの美しい図柄が姿を現す。
その図柄を見たときに、安易な思い込みによる予想が見事に裏切られたことに気づくのだ。
無論、いい意味で。だ。
そして実は、長野作品のこういった裏切りは今作が初めてではない。
長野作品にはこういったケースもあるということを充分に弁えていた。
故に、心のどこかで騙されまい。と疑いながら、見破ってやろう。と惑いながら、読み進めていた。
穿った心で読み、結末がどう転んでも「やはりな……」と頷く心構えはできている。そのつもりでいた。
しかし。そのつもりでいても、結局は「そう来たか!」と額を叩いてしまうのだった。
この一筋縄でいかない感じがまた、長野作品の魅力のひとつなのだ。
さて。
では今度は、結末ありきで読み返してみよう。
先とは異なる心持ちで、楽しめるはずだ。