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コンビニ・ララバイ
著者 池永陽 (著)
小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。オーナーの幹郎は妻子を事故で亡くし、幸せにできなかったことを悔やんでいた。店には、同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。堅気の女性に惚れてしまったヤクザ、声を失った女優の卵、恋人に命じられ売春をする女子高生……。彼らは、そこで泣き、迷い、やがて、それぞれの答えを見つけていく――。温かさが心にしみる連作短編集。
コンビニ・ララバイ
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紙の本コンビニ・ララバイ
2013/11/25 08:07
コンビニを舞台に人間模様様々
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
池永の連作小説で、今回は舞台はコンビニエンスストアである。たしかに誰でも行くところである。それぞれの客は色々な事情を抱えているかも知れない。前回『珈琲屋の人々』を読んだ。これは喫茶店が舞台であった。こっちの方が様々な事情を持っている人が来店し、マスターが声をかけてそれを聞き出すようなことも出来そうな設定である。
そこへ行くとコンビニは買い物には行くが、とてもゆっくり話を聞いたり、意見を交換したりする場ではないような気がする。店主が主人公であるが、不幸な過去を抱えているせいか、仕事に身が入らない。それを助けるのがバイトの店員である。こちらも幸福な生活を送っているとは言えない。しかし、店主にひかれるところがある。
この2人を中心に7つの短編それぞれに中心人物を配して、ストーリーを展開させている。実際のコンビニは人を中心というよりは、経営の方に関心を持たざるを得ないであろう。単価が安い商品ばかりなので、とにかく数を稼がなければいけない。それに本部が決めたルールはその地域ごとに変化を付けて適用していかないととても客がついてこない。
こういう設定でのストーリー展開はなかなか骨が折れるであろう。したがって、実際はそれほど始終人間関係でストーリーを作り、話を盛り上げるような材料はないように思われる。そう言ってしまっては小説など成り立たない。そして、登場人物の性格であるが、これもこんなやつがいるのかと思わせるほど風変わりな人物が多い。その点を除けば本書の出来はなかなかよかった。
どこにでもありそうな、誰でも来店しそうなコンビニエンスストアである。短編それぞれの中心人物も年齢は多彩で、しかも職業も様々である。ネタ探しには事欠かないように見えるのだが、バランスを取ろうとすると結構難儀しそうである。主人公の店主は経営にはあまり頓着していないように描かれている。
単価が安いから細かい金額でもおざなりにできないはずである。近所でもコンビニが潰れるケースは結構ある。こんな経営状態ではこの店は続かないのではないかと読者に心配させる。その前に主人を助けるバイトの店員から始終指摘を受けているので、これも杞憂に終わるのであろうか。
紙の本コンビニ・ララバイ
2015/05/05 10:08
人間らしさがよくでた作品
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トモサンマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンビニを舞台に、いろいろな人間ドラマを書かれていますが、親子、夫婦、大人と高校生、いろいろな人間関係と、そこにある人間らしい感情ややり取りが表現されていて、非常に興味深く読めました。
一つ一つは短編くらいのお話なので、短編ごとに区切って読んでいもいいですし、一気に読んでも楽しい作品だと思います。