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1件
鳩の栖
著者 長野まゆみ
水琴窟という、庭先に水をまくと珠をころがすような安らかな音が鳴る仕掛け。操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが……。少年たちの孤独と淡い愛情、儚い命の凛々しさを描く表題作など珠玉の短編五編。
鳩の栖
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鳩の栖
2001/07/16 00:13
特別じゃない、不幸じゃない、だからといって強くもない
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あふらま - この投稿者のレビュー一覧を見る
病気を持っている、両親がいない。こういうシチュエーションだと、とかく周りが特別扱いしがちになる、少なくともそういう目でみてしまう。
しかし、当人達はそんなことを望んではいないはずだ。普通に接して欲しい、遠慮のない方がいいと思っているのではないだろうか。
だからといって、当人達に不安がないかというとそうではない。自分のおかれた環境に押しつぶされそうにもなることもあるだろう。
この作品は、特別な事情をもった中学・高校生の微妙な心理状態と自分の置かれた立場を受け入れながら成長する姿を描いた短編集である。誰しもが、経験できるまた、想像できるシチュエーションではないが、読み終わった後の余韻は心地良い。中でも、3話「栗樹−カスタネア」は秀逸。
2023/05/31 15:28
向けない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう年じゃないね。
そうゆう読んでも何にも感じない。
昔まゆみさんが結構好きだなー
今はBLもの普通に読める時代になって、
あの頃みたいときめきもういない。
ただ少し気になるは『夏緑蔭』『栗樹―カスタネア』です。
鳩の栖
2001/03/08 15:58
現実世界にある幻想世界
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藍桐 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作を含む短編集。
収録された全ての物語に共通して流れているのが幻想的な世界。ただ、それはファンタジー小説のように明らかに現実に存在することはありえない世界ではなくて、私達の生活の中でひょっとした瞬間に出会えるような、そんな、なんともいえない微妙な世界。
大人ではないけれどだからといって幼児でもない、子供なのかもしれないけれど子供と言ってしまうと少し違和感がある、そんな少年達が性別を越えた人間という存在として悩み、愛し、成長していく姿はさすが長野まゆみとうならせます。
読み終わった時に少しだけ幸せで、なんとなく暖かく、穏やかな気持ちになれる本です。