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6件
存在の耐えられない軽さ
舞台は東西冷戦下のチェコスロバキア。「プラハの春」と呼ばれる1968年に実現した束の間自由主義体制とその後のソビエト連邦の侵攻、「正常化」という名の大弾圧という歴史的な政治状況下で、苦悩する恋人たち。不思議な三角関係など、四人の男女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。チェコ出身の作家ミラン・クンデラの代表作にして世界的ベストセラー。原著は1985年に刊行され、1988年にフィリップ・カウフマン監督、主人公トマシュにダニエル・デイ=ルイス、テレーザにジュリエット・ビノシュを起用して映画化されたことでも広く知られている。
存在の耐えられない軽さ
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存在の耐えられない軽さ
2005/02/19 11:36
この小説は100点です
14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「プラハの春」を背景に描かれる外科医トマーシュと田舎娘テレザの愛…。
この小説はまず、文章が面白いです。偶然トマーシュと出会ったテレザは「肩に飛び降りてくる偶然の鳥たちに目を覚まされて」、トマーシュの家に向かいます。
トマーシュはたくさんの女性とつきあうドン・ファンですが、トマーシュにとって
テレザは特別な存在となります。
そして、章の構成が面白いです。物語の途中で、トマーシュの他の恋人の視点から、トマーシュとテレザの恋の結末を読者は知ることになります。
本を読む人は、既に決められた結末へと向かう二人を悲しみを抱きながら見守らなければならないのです。
でも、悲しみ?
本を読み終わって、この結末が悲しみなのか喜びなのかわからなくなりました。
この本自体、重いのか軽いのか?
暗いのか明るいのか?
いろいろな読み方のできる本だと思います。
とにかく面白いです。
存在の耐えられない軽さ
2020/07/02 16:44
良書である。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Nagumo.G - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニーチェの「永劫回帰」の解釈から始まる冒頭で、心は鷲掴みにされてしまった。素晴らしい小説。愛の哲学的解釈、幸福に対する個人差、互いの解釈の違い、様々な「人間というもの」がこの中に詰まっている。「プラハの春」の頃のチェコが舞台。抑圧された政権下での人の心理、醜い部分が克明に描かれており勉強になる。恐怖政権下では人間の弱い部分がうまく利用されて、民衆をコントロールするのだという事が間接的に解る。登場人物それぞれの物事の捉え方が非常に興味深かかった。「カレーニンの微笑」だけは、涙が止まらなかった。良書!
存在の耐えられない軽さ
2018/05/13 22:11
どの人物にご自身を投影してみますか
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る
官能的な内容ではあるが、単に男女の泥々とした物語がただ続くだけではなく、その当時のチェコの政治的な背景をからめて、小説は展開されていく。主にに二組のカップルが中心となる訳ではあるが、各々が自分の立ち位置がどこにあり、本当の自分の気持ちはどこなのかを読者自身が、この小説の中の登場人物になって読み進めていくとおもしろいかもしれません。翻訳なのでどこまで原書に近いものかはわかりませんが、表現がとても独特で、やはり文化の違いが感じられました。