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くずばこに箒星
著者 石原宙 (著)
【SD名作セレクション(テキスト版)】廃墟の遊園地を流用してつくられた不思議な高校、了星学園。グレードチェア制度という特殊な序列システムの上、首席を目指す2ndチェア福山英知(ふくやま えいち)は、“学園の屑”おそうじ部へ潜入調査をすることになる。彼女らが隠れて探すものの正体を探るためだ。水川小花(みずかわ ちか)ら、厄介者揃いのおそうじ部員に翻弄されつつ、変人揃いの上位席者“チェア・オブ・シックス”の策謀も振りかかり、英知は下位席へ転落寸前。そんな中、遊園地復活を期する記念祭を迎え、おそうじ部の意外な探しものが発覚する。それは自分の過去に埋もれる英知に関わるもので…!? 第10回SD小説新人賞大賞受賞作、青春おそうじスペクタクル! ※この商品にはイラストが収録されていません。
くずばこに箒星 1
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紙の本くずばこに箒星 2
2015/09/15 16:34
ガイノイドだと自称する少女
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
希代の天才科学者・福山昏が経済界の出資を得て創立した了星学園には、グレードチェア制度がある。そこで第二席を占める福山英知は、第一席の神宮寺鳥子から義妹の水川小花の面倒を見ることを依頼され、学園の掃き溜めであるおそうじ部に関わった。そこで小花のネガティブスパイラルに翻弄され、越前なつきの男性恐怖症をフォローし、神経質すぎて何も作れない工学者の安達匠に出会い、成績以外の人に対する尺度を得た。
引き続き、おそうじ部に在籍する決意を固めた英知たちの前に、ミュール=レストというメイド服を着た少女が落ちてくる。どう見ても人間なのに、彼女は自分をガイノイドだという。
記憶をなくしたミュールのご主人さま探しを手伝うことになり、そして生徒会の森田待から依頼されたゴミをポケットに入れる逆スリ事件の調査を頼まれ、安達匠が手伝う機関車の修理作業に関わる英知は、その過程で、自らが探している母親の痕跡と、その母親がかつて関わっていた天梯会の跡取りである梯帝人の策略に遭遇することになる。
母親に対する感情が入れ替わり、他人のことを考える余裕が生まれた英知は、自分とは全く違う価値観でありながら、美しい素晴らしいと感じられる生き方があることを知り、そのことに魅せられていく。その結果、それまでの自分では考えられない様な、他人に関わる選択を自然に出来るようになっていく。
だがそれに対する妨害要素があることが明らかになるのが今回のお話だ。福山昏の名が持つ価値に群がり、そこから金銭的価値しか見出すことが出来なかった存在が、意趣返しのために学園を、福山の血縁である英知を狙ってくるのだ。
仲間は助け合える存在だけれど、自分のせいで迷惑をかけることも起きてしまう。それに耐えられるかどうかが、次巻で英知が直面する問題になりそうな気がする。
紙の本くずばこに箒星 1
2015/08/25 10:37
遊園地のアトラクションのごときバリエーションに富んだ展開
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
希代の天才科学者にして変人の福山昏が潰れた遊園地を買い取って創立した了星学園。この学園にはグレードチェア制度という、成績・課外評価・生徒間投票によりランキングされる序列があった。
その第二席である福山英知は、生徒会長にして不変の第一席である神宮寺鳥子からの依頼で、学園のお荷物扱いされているおそうじ部への潜入調査をすることになる。彼女たちが秘密裏に探している何かを調べよというのだ。自身も探し物がある英知は、その役に立つ可能性を鑑みてその依頼を受けた。
しかし、おそうじ部は前評判以上に学園生徒から蔑まれていた。部員は全員一年生なのだが、部長の水川小花は極度のマイナス思考で自虐的だし、越前なつきは男に近づかれると緊張で石化する。唯一の男子である安達匠は、変質的なまでに細部にこだわる性格だ。そしていずれも席次は高くない。それも当然だ。席次には生徒間の評価も含まれるのだから。
生徒会役員で、英知をライバル視する森田待(お子さま少女)からの挑戦を適当にいなしつつ、おそうじ部の秘密を探っていく英知。そして彼女たちと深くかかわっていくことで、席次に囚われていた英知に、別の価値観が芽生えてくる。
単行本としてはそこそこ厚めで、盛りだくさんの要素が詰め込まれている。しゃべるインコとの漫才やら、自虐ネタや毒舌ネタへのツッコミ、序列システムが導く歪な人間関係、すれ違う親子、恋未満の淡い気持ち、そしてちょっとしたアクションだ。
その全てに対応しなければならない英知は、かなりのスーパーマンと言えよう。これでヒロインたちがかなり残念でなければ、ちっとも共感できる要素がなかった。逆にヒロインたちが残念だからこそ、英知のスペックが生きる展開になったともいえる。
今回は派手なイベントがあったので良かったけれど、学園内のラブコメに帰着するのならば、英知はちょっとオーバースペック気味な気がする。序列システムがあまり有効に活用されていなかったことも鑑みて、次巻以降の展開次第では、英知はただのツッコミキャラになってしまうのかもしれない。