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俺の美熟女
著者 草凪 優
羞恥と貪欲が交錯する眼差しと、匂い立つ肢体――俺を翻弄し、虜にする、“最後の女”との出会い……。俺は、青いリンゴより熟れきったマンゴーの方が断然好きだ――。年上のシングルマザーに性の手ほどきを受けたことで、熟女の魅力にはまった藤尾敦彦。30歳になり、人妻のセフレ達との関係を清算し、婚活を始めることに。写真を見て一目惚れした、39歳の美熟女・及川美里を紹介してもらうが、その特異な性格と謎めいた言動に翻弄されて……。熟女の滴るような色香とエロスを濃厚に描き出す、傑作官能!
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俺の美熟女
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俺の美熟女
2016/12/25 21:19
酸いも甘いも噛み締めた恥じらいの熟女賛歌
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公(30歳)の他にもセフレがいるっぽいクールな人妻熟女(39歳)が出てきたり、自分勝手で高慢な独身熟女(39歳)が主人公を振り回したりしている前半に辟易して読むのを止めてしまいそうになるかもしれないが、今しばらく先に進んでほしい。あるいは禁じ手かもしれないが、結末の1~2頁に目を通してから読むのも今回はアリかも。
表出する態度や立ち居振る舞いに潜む本心が分かれば可愛らしく見えてくる愛の熟女賛歌といった趣の作品である。
企業の秘書室勤務で容姿端麗にして才色兼備。マンションでペットを飼うプチセレブなアラフォー女子となれば充分に自活可能で結婚は半ば諦めムードと相場が決まっているが、本作のヒロインも多分に漏れないばかりか厚顔不遜の超絶自己チューがさらに加味される。
本人に結婚の意思がない訳ではないのだが、完璧過ぎる美貌や安定した高収入などが逆に壁となって男を遠ざけてしまう。そして、その真意に気づかず、さらに自分を磨けば磨くほど壁が高くなっていく悪循環である。また、華美な装いも災いして夜の営みもテクニック充分と誤解される始末。つまりは相当にこじらせている熟女なのである。
他にも本作に出てくる女性陣は総じて表向きと裏の本性が異なる存在として描かれている。
このヒロインの旧友であり、主人公へ紹介した人妻熟女から送られてくる学生時代の写真もまた、ヒロインが最初から高飛車だった訳ではなく、年を重ねていくうちにそうなってしまったことを示しているが、主人公もまた三十路を迎えて結婚願望が高まる中で、それでも若い娘には触手が伸びず熟女好きになった過去の経緯があったり、合コンで出会った22歳の一見おとなしい娘が実は経験豊富なS性の持ち主だったりと紆余曲折が描かれている。その意味では酸いも甘いも噛み締めた男女が出会った物語とも言える。
本作に出てくる女性陣の表裏が異なることで官能成分が底上げされている。
清楚で母性的な熟女には淫らな一面があり、クールな熟女は被虐の羞恥に肌を染める。一方で派手な出で立ちであっても意外に身持ちは固かったりする。そんな諸々のギャップの中で重役秘書として男達の視線を浴び、装いも振る舞いも完璧に見せるヒロインの本当の素顔を知るまでに踏み込むことができた主人公。その行く末は、苦行にも似たやり取りを続けたことへのご褒美なのかもしれない。
熟女のダメで面倒臭くて淫らさには正直なくせに恥じらいのオブラートに包むしたたかな側面を描きながら、それをも愛しいとする作者の眼差しを背景に良さがじわっと滲み出てくる作品だったと思う。その分岐点は後半の始まりを告げる第四章であろう。