電子書籍
100万分の1の恋人
著者 榊邦彦 (著)
「私は、0.0001%の運命を背負って生きているの」――大学院で曾根崎心中を専攻する僕に、幼馴染の恋人はある秘密を打ちあけた。サヨナラを言えば、2人は幸せになれるかもしれない……それでも僕の心はこう叫ぶ。絶対に、彼女じゃなければ、ダメなんだ。今すぐ大好きな人に会いに行きたくなる、極純のラブストーリー。
100万分の1の恋人
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本100万分の1の恋人
2007/02/06 17:17
あなたは恋人の「心」が好きですか?
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第2回(2006年)新潮エンターテインメント新人賞受賞作「ミサキへ」改題(選考委員・浅田次郎)。
結婚しようと思っていた女性から、遺伝性のあるハンチントン病のアットリスク(病気の遺伝子を持っている可能性がある意)かもしれない、と打ち明けられる重いテーマを、正面からまじめに描いた恋愛小説。
ハンチントン病は、以前は舞踏病と呼ばれた難病で、神経変異疾患です。不随意運動による四肢の急激な動き、怒りっぽさ、ふさぎこみ、物への執着、痴呆といった症状が出ます。最終的には自力で生活が困難になり、寝たきりになります。
これらの症状がじわじわとやってきます。その恐怖や不安、周りの人、家族への負担も大きい病気です。
主人公のケンは両親が離婚し、母親とその祖父母に育てられたため、自分が「父親」になることを望んでいました。さらに家業の医院を継ぐ医者になるのに反抗し、文学の道を歩いています。このような自分の問題とミサキの問題の折り合いをつけていくのが主題です。
恋人でアットリスクを抱えるミサキは幼稚園からの幼馴染。大学で再会し、お互いに必要不可欠な存在で、結婚するのは自明のことでした。
このミサキから病気をうかがわせることは全くなく、ただそれは病気になる恐怖の裏返しであったことが次々にわかってきます。悲しくも強い女性ですが、それ以外に、彼女にはどんな生き方があったでしょう。
「笑顔が好き」「やさしさが好き」というのは、人を好きになる十分な理由ですが、それらが失われるとき、まだその人を好きでいられるかどうか。
小説が語りかける病気の重さを、日常生活のあらゆる場面を用いて描ききります。もちろんこの小説の結論は一過性のものであり、ミサキが発病してから本当に二人の物語が始まるのでしょう。そのような榊邦彦の小説も将来、読んでみたい。
電子書籍100万分の1の恋人
2013/02/20 17:10
読書の冬
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:syou - この投稿者のレビュー一覧を見る
東北山形はすっかり雪の中,外出もままならず読書の秋ならず,読書の冬とまいりましょう。