- みんなの評価
1件
言葉の海へ(新潮文庫)
著者 高田宏
国語の統一こそ一国の独立の標識なのだ。日本が近代国家となるためにも、一日も早くこの辞書を完成しなければならぬ……。子を失い、妻に先立たれながら、17年間を費し、遂に明治24年、大槻文彦はわが国初の近代的国語辞書『言海』を完成させた。〈近代国家・日本〉の確立に献身した一人の明治人の姿を、激動の時代に重ね合せて感動的に描き出す。大佛次郎賞・亀井勝一郎賞受賞。
言葉の海へ(新潮文庫)
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
言葉の海へ
2006/10/25 14:04
辞書はもう一つの独立宣言であったという仮定
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
地元の古本屋の主人が「これ面白いよ」というので購入した本である。
*
この古本屋は20年前から知っているが 近くに引っ越した3年前からは毎週通っている。驚くべきことには この古本屋は本を推薦してくれるだけではなく本を「貸して」くれることすらある。日曜午後に主人の隣りに座らしてもらって 本の話を聞くのは 貴重な時間である。
*
ところで 本書は面白い。「言海」という日本初めての近代辞書を著した大槻文彦の伝記であるが実に感動的である。
*
何に比較すると分かりやすいかというと「坂の上の雲」であり「武士道」であるというのが 小生の独断である。いずれも 明治という国の揺籃期に 戦争を通じて、または 文化を通じて 日本を主張していったという話であると解している。
*
この「言海」も 同じ水平線で語ることが出来ると思う。大槻は 辞書を作成することで 日本語を体系的に整理し もって 世界に対し日本語文化を主張するということに人生を賭けた。これはまさしく もう一つの世界に対する独立宣言であったと言っても良いと思う。
*
読後に すぐ 筑摩文庫から出ている「言海」を買いに行った。