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15件
【期間限定価格】しゃべれども しゃべれども
著者 佐藤多佳子 (著)
国分太一主演の映画原作。しゃべれどもしゃべれども想いは伝わらない――。若い落語家・今昔亭三つ葉は、前座より少し上の二ツ目。そんな三つ葉が話し方教室を開くことに。無愛想で失恋ばかりしている美人、関西弁でクラスでいじめにあう小学生、野球解説がド下手な元プロ野球選手……人に教えている場合ではない先生のもとに、自分を表現できない不器用な生徒が集まり……。さりげない展開の中に絶妙のテンポ感があり、読み始めたら止まらない! 癒されたい人、必読。
しゃべれども しゃべれども
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しゃべれどもしゃべれども
2007/01/10 20:38
文句なしに「良い」。ただ一言「読むべし」といいたくなる一冊。
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1997年に単行本で出版されその年の「本の雑誌」で年間ベスト1に輝いた作品。
前評があまりのも良いと期待し過ぎて逆に評価が下がることが
ありますが、この作品に限ってはそんな心配は不要です。
評判・話題になって当然期待以上の面白さでした。
読んいる間中楽しさと切なさとそして爽快さに包まれていて読
了後自然と笑みが浮かぶ作品なのです。
もしこの本を読んで悪評を書く方がいたらならば、それはただ
の偏屈としか呼びようがないのでは?と思うくらい兎に角一言
「良い」作品なのです。
本好きの方の中には社交性のある方もいますが、私にとっては
本の世界はいわば現実からの逃避行のようなものでこの本に登
場する話しベタで付き合いベタの4人の気持ちが実に良く分か
るのです。
五月が自分が周りと上手く付き合えないからこそ三つ葉のよう
な人に憧れつつも距離を置く、湯河原は優しさが表にみえない
から誤解される・・・。
人に嫌われて平気な者などいるわけがない、自信を持てという
時点でその人に対して「良し」と認めていないなど当たり前の
ことをサラリと語られ、そしてハッとさせられる場面が多いの
も佐藤さんの作品の特徴なのかもしれません。
いじめや対人恐怖症など決して明るいだけの物語ではないのに
何故こんなにも爽やかな読了後なのか?
それはきっと三つ葉のおせっかいと優しさが4人に向けられる
とともに読者の心にも伝わってくるからかもしれません。
皆の心に灯りをともしてくれる一冊です。
しゃべれどもしゃべれども
2011/09/30 23:26
小気味良さがうれしい佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』。
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「しゃべれどもしゃべれども」はすでに映画にもなったが、何とも小
気味良く、しかも、ハートにグッと来る傑作小説だ。小気味の良さとい
うのは、主役の男、今昔亭三つ葉が二ッ目と言えども落語家だから。彼
の言葉で語られる小説なので、テンポが悪くてはどうしようもない。ポ
ンポンポンと短い言葉を放り出すように語っていく文体が素晴らしい。
これ、簡単そうだが、やはり「技」が必要。佐藤多佳子にはユニークな
観察眼や表現力もあり、物語は気持ちよく盛り上がっていく。
まだぺーぺーの落語家である三ツ葉の元になぜか落語を習いたいと四
人の男女が集まってくるという設定がおもしろい。しかも、彼らはそろ
って問題児。一人は対人恐怖症でテニスコーチを辞めた男、一人は口べ
たで大失恋をした女、一人は大阪から転校しいじめにあってるらしい小
学生、そして最後はマイクの前だと本音でしゃべれない元阪神の野球解
説者。彼自身も壁にぶちあたってる三ツ葉は彼らを見事に更生させられ
るのか?
これは会話が苦手で人とうまくつき合うことができない心優しき人々
の物語だ。そんな彼らが最後にたどり着くのは…。ラストにふたつの山
場があるのだが、どちらもなんだかジーンときて胸がいっぱいになって
しまう。しかも、自分もがんばらなくちゃ!という思いが激しくわいて
くるのだ。人間関係に悩む多くの人におすすめの一冊だ。
しゃべれどもしゃべれども
2008/06/15 13:50
最高の完成品
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
しゃべれども しゃべれども 佐藤多佳子 新潮文庫
100ページを過ぎて、この本は社会福祉の本だと判断した。文章表現に広がりがある。主人公の1人称による独語が効果的だ。文章が上手な筆記で感心する。達ちゃんと十河(とかわ)のほのかな恋愛話はかわいらしくほほえましい。会話が野球のトスバッティングのようだ。ピッチャーの投げたゆるいボールがバッターによって正確にピッチャーへと打ち返すことが繰り返されている。
この作家のテーマは「支えあう尊さ」である。作品「一瞬の風になれ」(短距離走が素材)と今回の落語と素材は異なるけれどテーマは同じである。作家という職業人は自分がもつひとつのテーマで幾種類もの物語をつくることができる。一番重要なことは絶対的な自分のテーマをもつことだ。
10歳男子小学生村林の個性作成がいい。こどもらしさを出さずにあえて大人のキャラクターで勝負している。
落語は生き物。人生も生き物。いい1年であったという庶民のささやかな生活話だった。10年前に書かれた作品だが今でも生き生きとしている。

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