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そして殺人者は野に放たれる
著者 日垣隆 (著)
無罪判決。その時、殺人者はニヤリと笑った――「テレビがうるさい」と近隣の5人を滅多刺しにした男が、泥酔し見知らぬ主婦を背後から殺傷した通り魔が、罪に問われず社会に戻ってくる!! 「心神喪失者の行為は罰しない」という法の下に――。ある殺人者は「やられたほうが悪い。自分は被害者」と開き直り、ある殺人者は「死んだ人間は運命だと思って諦めたほうがいい」と口にする……こうして彼らは、何度も何度も野に解き放たれる! 日本の無法ぶりを暴いた渾身の衝撃作。
そして殺人者は野に放たれる
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そして殺人者は野に放たれる
2009/01/12 20:25
冷静に日本の司法の在り方を考えさせられる
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さいき ゆみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
被害者の人権が無視され、加害者の人権ばかりが重視されるのはおかしい。被害者の無念がわからないのか!
というような感情論でこの本は書かれていない。
ジャーナリズムの基本である事実だけを10年かけて集めた渾身の一冊。こんなにも日本の司法が穴だらけであることを、これでもか、これでもかと実例を叩きつけてくる。
近所の騒音が気になり殺人をしてしまった事件が、ひとつは有罪でひとつは無罪になる。そのさじ加減のいい加減なこと。我が国における精神鑑定は単なる作文でしかなく基準らしいものはない。
それはちょっとした環境の違いで左右されるだけで、もう運としか言いようながいことがわかる。
そして、何より問題なのは、精神鑑定による無罪になった人間が特別な施設に入れられることもなく、出てきてまた同じような犯罪をしてしまっている事実である。犯罪被害者を増やさないことは、刑法の見直しとともに、再犯を防止するシステムも必要なのだと実感した。
そういえば、最近の報道も障害がある人であっても実名で報道するようになっているし、この一冊がきっかけで変わってきたのかもしれない。こんなすごい本の存在を知らなかったことを反省した。
最近話題の裁判員制度もなるほど必要なんだろうと思う。
しかし、こんな不可解な事件が次から次へと起こる日本のいったい何が本当に悪いのだろうかということは、この本には書かれていない。 だからって、今の司法がこれでいいことにはならないけど。 読んで確かに感動したのであるが、気持ちは重く沈んでしまった。
読物としても、どんなサスペンス劇場よりスゴイ本です。夢中で読めます。
2012/10/30 23:08
勉強になるけれど
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の想像に過ぎないような部分が時々見える。
被害者の視点に立つのは大事だし、私も読んでいて犯人に腹が立つ。
首を傾げる法律もあるし法律家もいる(自分の体験で)
でも、興奮し過ぎているのか時々「それはあなたの想像じゃあないの?」って思う文が出てくる。
それが説得力を弱くしているように感じる。