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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
著者 村上春樹
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 新装版 上
2010/07/17 21:07
村上春樹のメッセージが隠されている
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yan - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕と私の二人の主人公と二つの世界が同時進行して
最後に登場人物はどこに行くのかと言うのが読みどころ
壁に囲まれた町、世界の終りで僕が夢読みをする幻想的な世界
計算士(?)の私が地底をさまよい歩き、最後には
世界の終りに行ってしまう(?)ハードボイルドワンダーランド
老人の博士によって脳内改革されてしまった私は
その空間に取り込まれてしまう
そこで永遠の生を受けると言うのだが
私は、現実社会での生に未練があって
その死=生が近づくに従い
様々に思いを巡らせ、さまざまに行動する
部分が印象的でよかった。
いざ、自分の意識が失われて、
世界の終りに行こうとするときに
買い物をしたり、食事をしたり、
カーステレオでボブディランを聞いたり
公園のベンチにすわってビールを飲みながら
自分の身体が冷凍される事を考える・・
せつなさと孤独感を感じさせる場面で、
村上春樹のメッセージを読み取ったような気がした
そして、世界の終りで、使われている言葉がいい
心がそこにあれば、どこに行っても失うものはない
絶望があり、幻滅があり哀しみがあればこそ、
そこに喜びが生まれるんだ
私が無意識に作り出した世界の終りは、
私自身が現世では手に入れられなかった
心の平静、安楽であるのに
実はその世界は人の心と言う物がない、
空虚で自分がない空間であること
人はみな孤独で、人生に諦めを感じてはいても
やっぱり自分を無くしてはいけないのだと言うことなのではないだろうか
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 新装版 下
2016/02/22 14:08
折に触れ読み返す本!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーシカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹さんの小説は読み返すことが多いが、特に本作は、やみくろとの邂逅のシーンから最後の晩餐的ディナーのシーンまで大好きで時間があればそこだけでも読み返してしまう。
何にそんなに惹き付けられるのか。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 新装版 上
2023/06/25 13:24
街とその不確かな壁 と併せてどうぞ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまを - この投稿者のレビュー一覧を見る
最新長編「街とその不確かな壁」を読んだ後に再読。
20年前に初めて読んだときはよくわからなかったことも、時間を経て読み直してみると理解できた。新作との対比ができるのも村上主義者としてはおもしろい体験。