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風樹の剣
2000/09/09 22:31
心に潜む魔性との戦い
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊藤克 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日向景一郎シリーズの第一作目である。
「生が死を抱いているものなら、ある時からそれが入れ替わり、死が生を抱き込む」
小説の冒頭に出てくる一文である。
北方謙三は、日向景一郎をとおして人生観を語らせていると私は思った。
日向流創始者であり、景一郎の師である将監は、老いて病魔と闘いながらなおも剣の修行に励む。
「闇が切れぬ」と将監はいう。
そんな将監も敵と切り結ぶさなかに病死する。
祖父でもあり、師でもある将監から、「父を切らねばおまえの生きる道はない」との遺言を受けた景一郎は、父を倒すべく旅にでる。
冒頭に出た”闇”に対する回答は終盤にあらわれる。
”剣は光でしかなかった。闇と体が共に切られ、闇は静かにその切り口を閉ざす”
その人物に相対するまでの道のりの中で、景一郎は成長する。
現代の人でも皆心の中に猛獣を飼っている。
大人になる課程で、心の中の”猛獣”を飼い慣らす術を覚えていく。
日向流継承者、日向景一郎の心の旅は第一作を終わった所から始まる。
私は無性に二作目を読みたくなった。
降魔の剣
2000/09/12 21:16
円熟の剣士
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投稿者:伊藤克 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日向景一郎シリーズ2作目である。
前作『風樹の剣』で漁師のまねごとをし、海士(アマ)の様に海中に潜り修行を行った主人公日向景一郎が、2作目では焼き物(陶器)を作っている。山へ行き、土を選び、乾燥させ、窯場へと運んでくる(土の選び方、処理の方法を読んでいると、以前TVで紹介されていた鏝師(左官職人)の土の処理を思い出した)。
剣から離れたがっている景一郎の気持ちに関係なく、相変わらず剣難が襲いかかり、日向流の跳躍で敵をなぎ倒していく。前作で父親を倒そうとしていた景一郎は、この作品でも終盤の壮絶な戦いの中で“何か”を倒す。
次作、『絶影の剣』が楽しみである。『風樹の剣』で生まれ、本作で5歳となったミニ剣士“森乃助”も成長しているにちがいない。
風樹の剣
2000/12/18 18:07
好き嫌いが分かれる作品
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大鳥啓介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
北方謙三とはどういう作品を書くのだろう、ととりあえず時代小説が好きなので本書を読んでみた。
びっくりした。読み進めていくうちに“ヒーローもので、一人の剣士の成長物語なんだ”と気を抜いていたら、話の最後のほうになると大変なことが起こったからだ。それまでは『鬼平犯科帳』みたいにほのぼのした展開だったのに…。結局読むのを途中でやめてしまいました。
人情とか、ほのぼのにはもううんざりだ!という人にはおすすめかも。