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ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件
著者 杉山春
二〇一〇年夏、三歳の女児と一歳九カ月の男児の死体が、大阪市内のマンションで発見された。子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるようにして死んでいた。母親は、風俗店のマットヘルス嬢。子どもを放置して男と遊び回り、その様子をSNSで紹介していた……。なぜ幼い二人は命を落とさなければならなかったのか。それは母親一人の罪なのか。事件の経緯を追いかけ、母親の人生をたどることから、幼児虐待のメカニズムを分析する。現代の奈落に落ちた母子の悲劇をとおして、女性の貧困を問う渾身のルポルタージュ。
ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件
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ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件
2013/12/09 13:29
やりきれない
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりんぐりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この事件をニュースで聞いたときの衝撃は忘れられそうもない。
子供を閉じ込め、蒸し風呂のような室内で餓死するように放置した母親。
インターホンから子供の声を聴いても何もしなかった住人(通報したひとはいるようだが)、対応はしたものの、助けられなかった行政。
生活保護にタカりに来日する外国人がいる一方、公的扶助の存在を知らない、利用し方を知らない若い母親。この本に書かれていることが本当なら、離婚した父親とその家族の対応も少々信じがたいものだ。
当方の周囲にはそういう人がいないからなのか、ベビーカーに赤ん坊を載せ、もう一人の幼子の手をひいて風俗の面接に行ったという話にはただただ驚くしかできない。しかもそれが決して珍しいことではないということで、さらに驚き、その上、そんな母親と面接したあと、即、性行為をした風俗店店長……。二人の子が最中にどうしていたのかしらないが(まさか預けたわけではないだろうから、そのままホテルにつれていったのか?)、よくもまぁできるものだと感心してしまう。
子供の死体を確認したあと、男を呼び出し性行為に及んだ母親。
最後の方で、風俗産業の価格破壊について書いてあり、それに対して「いらない」「蛇足」だというレビューを目にしたことがあるが、当方はこれは必要だったと思う。
かつては、女の最終的な行き先として風俗があった。
そこに身を落とすことは、本当に最後の手段だったが、女性の供給が少なく、男性側の需要が多かったので、女性は高給を手にすることができ、生活ができた。
しかし、今では価格破壊が進み、垣根を超える女性が増えてきた。結果、苦界に身を落としても、子供をかかえながらまともな生活ができるだけの収入が確保できなくなるという負のスパイラルである。
読み終えて、この事件はどうにも防げなかったのだなという印象を持った。
亡くなった二人の子がただただかわいそうだった。
どうしようもない父親、母親はこれからも出てくるだろう。
虐待死を少しでも食い止めるためには、育てられないと思った親から子供をできるだけ早く隔離することくらいしかできないだろう。
ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件
2021/02/11 11:03
小児虐待
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代日本の貧困問題の一つとして、小児虐待の問題が大きいことがよくわかりよかったです。現場に密着しているので、素晴らしかったです。