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美術館の舞台裏 ──魅せる展覧会を作るには
著者 高橋明也
一九九七年、スペインのさびれた地方都市ビルバオに世界的に有名な建築家フランク・ゲーリー設計のビルバオ・グッゲンハイム美術館が誕生しました。その集客は最初の3年間で400万人、収益約5億ユーロ!しかしこの美術館は存続の危機に陥った老舗名門美術館による起死回生の挑戦でした。美術品の保存と研究を旨とする美術館に、今、商業化とグローバル化の波が押し寄せています。新しく変わりつつある文化の殿堂で何が起きているのでしょうか?
美術館の舞台裏 ──魅せる展覧会を作るには
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2016/09/17 12:31
美術館の舞台裏 魅せる展覧会を作るには
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投稿者:Carmilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
丸の内にある落ち着いた雰囲気を持つ美術館である、三菱一号館美術館。同館の館長が書き綴る、日本の美術展と美術館の実態と現状。日本の美術館に対する公的援助が少ないことは、以前から重々承知していた。自前で用意できるコレクションに乏しく、海外にネットワークを張り巡らす新聞社・メディアの力なくしては、日本の美術館で海外芸術の展覧感を開催することは難しいのだ。そのことが、日本の美術館とメディアの関係に悪影響を及ぼし、日本に真っ当な美重点の評論が存在しないことを、筆者は心から憂えている。「寄付」と「寄贈」の違い、美術品を巡るドロドロの世界、美術品と光(太陽光、室内照明問わず)の関係…。「学芸員」の地位が、海外と日本とでは全く違うことに、驚く人も多いだろう。大学の講座で簡単に取得できる日本に対し、高度な試験を突破しないとその座につけない海外。自前で用意できるコレクションがない(少ない)が故に、日本独自で発展した様式が、海外の美術関係者から奇異の目で見られていることは、日本人美術愛好者の一人としては肩身が狭い。そしてここ数年の世界的不況で、海外の美術館も経済的苦境に陥っているのは、美術ファン、美術展覧会好きには気がかりな状況である。美術というのは、このまま「金持ちの道楽」になってしまうのだろうか。
2016/02/23 23:35
もう少し突っ込んだ内幕と、図版があればいうことなし
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おくちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス美術を専門とし、現在は三菱一号館美術館長を務める著者による、美術館の運営にまつわるお話が満載です。具体的な内容は他の方が詳しく紹介されていますのであえて繰り返しませんが、日本の美術館はフランスやイタリアなど大国の美術館に比べて資金力、集客力などまだまだで、著者の苦労されている様子なども垣間見えて興味深かったです。
ただ、どれも割と表面的にさらっと記述されていますので、欲を言えば、もう少し突っ込んだところまで知りたかったです。例えば、日本の美術館展は大手新聞社が強力なスポンサーになっているのは誰でも知っていますが、それでは新聞社は全体の売上の何パーセントくらいを取っているのか?特別展に必ずといって並べられているグッズ類の売上目標はどのくらいか?(話はそれますが、どの特別展でも2500円もする大判のカタログが大量に山積みされています。しかし私はそれを買っている人を見たのは今まで一度しかありません。)
それから、これもちくま新書だからかもしれませんが、図版があればもっとインパクトがあると思います。例えば、ヴェネツィアでティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」とマネの「オランピア」が並んで展示されていたときの印象を語っておられますが、読者がみなこの2枚の絵をぱっと思い浮かべられるとは限りません。