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エラスムス 闘う人文主義者
著者 高階秀爾
中世の大ベストセラー『痴愚神礼讃』の名を知る人は多いだろう。ヨーロッパ文化への貢献者に与えられる栄えある賞に今もその名を残す、西洋知性の粋、デジデリウス・エラスムス。宗教改革をはじめ、世俗権力と教会の対立が顕在化し、争いが絶えなかった狂乱の時代を生きた彼は、つねに学問に打ち込み、「何者にもその道を譲らない」という自らの信条が揺るぐことはなかった。派閥に属さない知性的な態度や人間味あふれる魅力的な人柄、「世界市民」としての生き方を、西欧文化を知悉する著者が憧憬をこめて描き出す傑作評伝。 【目次】まえがき/第1章 我、何者にも譲らず/第2章 不信の時代/第3章 変革への底流/第4章 古代へのめざめ/第5章 ふたつの友情/第6章 イタリアへの旅/第7章 ヴェネツィアの印刷業者/第8章 ゆっくり急げ/第9章 『痴愚神礼讃』/第10章 宗教改革の嵐/第11章 嵐のなかの生涯/第12章 自由意志論争/第13章 栄光ある孤立/はしがき
エラスムス 闘う人文主義者
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エラスムス闘う人文主義者
2024/01/21 18:29
キリスト教の希薄なエラスムス像
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エラスムスはルターやティンダルなどが新約聖書の翻訳を訳した時に底本にしたギリシャ語ラテン語対照新約聖書をやっつけ仕事にしても刊行したのだが、この本は人文主義者としての肖像ばかりに光が当たっていてカトリック教会には「異端」視されても宗教改革者の側には微温に感じるような改良主義者としてのエラスムスが見えてこない。エラスムスの伝記を書くにはキリスト教のテキストにも人文主義者として研究した側にも光を当てるべきだ。彼がギリシャ語ラテン語対訳新約聖書を刊行したフローベンはヨセフスのテキストも出しているしアルド・マヌーティオは人文主義者の版元として有名だが七十人訳のテキストを刊行している。