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日本の台湾人 ――故郷を失ったタイワニーズの物語
著者 野嶋剛
戦前まで日本であった台湾。戦後政治に翻弄される台湾。政界、経済界、学界、そして芸能界、文芸分野まで、広く活躍する台湾出身者たちがつないできた日本と台湾の深い絆をたどる。蓮舫、安藤百福、羅邦強、ジュディ・オング、余貴美子、東山彰良、温又柔、辜寛敏とリチャード・クー、そして陳舜臣、邱永漢……。彼らのファミリーヒストリーから、日台関係の光と暗部を浮き彫りにする。
日本の台湾人 ――故郷を失ったタイワニーズの物語
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日本の台湾人 故郷を失ったタイワニーズの物語
2023/08/10 00:25
単行本より写真は多いか?
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一青妙の「私の箱子」と同じちくま文庫で文庫化されたのだから、一青姉妹を文庫化に際して取り上げてほしかった。あと自分がキャスターを務めた番組で祖父や母親といった家族の視点を使って台湾の現代史を取り上げたという(見ていないが)NHKの鎌倉千秋アナウンサーも。あと不満が残るとすれば「まんぷく」は作品の出来映えはともかく、安藤百福をモデルにした萬平は台湾出身ではない設定だったし、台湾を連想させる筋書きもなかった事も文庫化した時に触れるべきだった。「香港とは何か」に周庭から「不協和音」を教えてもらったと書いているので、ジュディ・オングや余貴美子はともかく、サブカルには詳しくないのかもしれない。
陳舜臣と邱永漢が没した時には「忘れられた人」だと扱われて衝撃を受けたそうだが、今となっては范文雀を知っているのは一定の年齢以上か、彼女が出演した作品のファンではないか。
辜顕栄の名前を知ったのは陳舜臣の本だったが、台湾人で初の貴族院議員になった人物の家族なら、それだけでも忌避する人もいるだろうし、林鍾国的な「親日派」批判を受け売りするような人なら「親日派の一族」だとケチつけそうだ。「92年コンセンサス」は大陸側が台湾との交渉で主張しているものだが、随分とつまらない内実の文書らしい。
陳舜臣の「録外録」に出て来る日本軍の軍夫としてフィリピンに渡ったきり帰ってこなかったので、残された父親が道士に頼んでお告げを乞うたのを見聞したという記述は、この本の内容からして戦後、台湾にいた時期のようだ。誰も知らない無名の軍夫の運命などは霧社事件や2・28のような出来事でしか台湾を見なかったり、「親日台湾」の幻想でしか見る事が出来なかったりするような人には見えないし、理解出来ないのだろう。もっとも「反日」朝日新聞に連載されて、「反日」朝日新聞社から刊行されていた「録外録」などはじめから読まないし、それ以前に一定の年齢以下では陳舜臣を知らないだろうけれど。
2025/02/10 18:37
台湾人への理解がさらに深まった
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投稿者:ナナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
カップヌードルの創業者、安藤百福さんが台湾生まれということを知り、そのタイミングで偶然、本書に出会いました。安藤さんの背景だけでなく、何故、中国語名の方々が日本育ちで活躍されているのか、今まで、疑問に感じたこともあったのですが、クリアになりました。これまで、歴史に翻弄されながらも、希望を失わずに、人生を力強く生き抜いて、日本と台湾をつなぎ続けてきたタイワニーズに感謝を感じた一冊です。