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15件
日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実
著者 吉田裕 著
310万人に及ぶ日本人犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。異常に高い餓死率、30万人を超えた海没死、戦場での自殺と「処置」、特攻、体力が劣悪化した補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験を強いられた現実を描く。アジア・太平洋賞特別賞、新書大賞受賞
日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実
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日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実
2018/07/22 23:23
日本軍兵士の過酷な実態
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TW6429 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日中戦争以降の戦争に動員された兵士の過酷な実態を詳細に明らかにしている。例えば、戦場では歯を磨く余裕が無かったため、虫歯になる兵士が続出したが、戦場には口腔外科を専門とする医者が不足していたこと、他に物資の不足によって靴の材質が悪くなり、サメ皮の靴がつくられたことなどといった、兵士が単に環境だけでなく、物資面においても劣悪な環境にあったことを詳細に明らかにしている点が非常に興味深かった。他にも、一般的な通史では説明されていないような、兵士の過酷な実態について言及されているので、アジア・太平洋戦争の実情をミクロな視点から知ることができる。
日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実
2018/11/12 05:25
「お国」は兵士も労働者も使い捨て?
7人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:***** - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争末期の食糧難は全国民を襲った。
でも「兵隊さん」はそれなりに支給を受けていたかというと、
無謀な戦力で補給路の確保ができなかった
大陸、南洋の兵士たちの衣・食・住、
そして医療の貧困。
「赤子」たちは「お国」にネグレクトまたは遺棄された。
この本を読んでから「ペリリュー」を読み始めたので
「総論」を読んでから「ディテール」を読んでいる感じです。
期間で来た人たちは少数とはいえ、
各地で亡くなった方の遺族は相当数いらしたのに
なぜ日本人は「赤子」を捨てた天皇を裁けなかったのか不思議。
日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実
2018/07/02 19:49
シリーズ化希望!
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねずみごっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後出た戦争関連の本が、あえて避けたり伏せていた部分をスッキリハッキリ見せてくれたと思います。
光文社文庫の戦記物などを読んでいて断片的に描き出されていたいくつもの真実を、根拠ある資料の裏付けをもって端的に並べてもらった感じです。
自分の場合は戦時中日本であったことは外国でもありえるし、外国であったことは日本でもほぼ起きうるということを再認識できました。
戦争に接したご年配の方にも、戦争を知らない子供たちにも、必読の書だと思います。
ぜひこの著者でシリーズ化を!