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1件
クワイエットルームにようこそ
著者 松尾スズキ
第134回芥川賞(2006年)候補作。
恋人との大喧嘩の果て、薬の過剰摂取(オーバードーズ)で精神病院の閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、事情を抱えた患者やナースと出会う。普通と特別、正常と異常……境界線をさ迷う明日香がたどり着いた「場所」とは一体、どこなのか?
悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた本作は2007年、松尾スズキ自身の監督・脚本で映画化された(主演・内田有紀)。
解説・枡野浩一
クワイエットルームにようこそ
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クワイエットルームにようこそ
2007/09/04 23:04
気がついたらクワイエットルーム、本格的な絶望に笑っちゃえ。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゃい - この投稿者のレビュー一覧を見る
気がついたら精神病院の隔離部屋で拘束されていた。
そういえば、同棲している彼氏で放送作家の鉄ちゃんと喧嘩して酒を飲んだんだ。
つまみについうっかり精神薬を食べ過ぎた。うっかり致死量分。
で、精神病院に入院。全く死ぬ気なんてないし。でも反論できないししょうがないか。
って自分の頭燃やしちゃう人と同じ括りかよ。
無理です。ごめんなさい。わたし普通です。
気がついたらオーバードーズしていた28歳のバツ一のライター。
飲みすぎた精神薬は離婚の際の軽い鬱でもらって、面倒で飲まなかった薬。
保護者の承諾がないと退院できないのに、保護者の鉄ちゃんは番組の企画でミャンマーへ。
ここには拒食症に鬱病にアル中、なにが普通なのか。はやくでたい。
本のあらすじには絶望から再生への14日間。
内面世界をグルグルして現実それとも幻?の話かと思っていた。
でも実際にはそんなことはなく、現実にいそうなちょっとテンション高めな女性。
お酒に酔ってる時など、(この主人公の場合は、精神薬でだが)意識が曖昧な時の言動は、素なのか。それとも勢いか。
勢いづいた素なのか。
ただ、そういうとき、もう忘れていたことが、自分の口からでて。そうか、自分は忘れてなかったのか。
と、ほーとさせられることがある。
普段は自分すら騙せちゃうのだ。常に人は自分から見れば普通なのかもしれない。
普通かどうかは別としても、まずい方向には進まないために。
あれちょっとずれぎみ。と気がつかなくてはならない。そして面倒だけど、ずれた原因を認めてやらないといけない。
であとは時間が解決するんじゃないの。どんなに辛くても腹は減るみたいな感じで。
話の題材の暗さに対して、ひたすら軽く、全般的にただよう、うっかり感がたまらない。
クワイエットルームにようこそ
2008/10/06 22:44
これよんだらつぎこれどうでしょう
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何をかくそう、
いろいろな他の作者と比べてしまいました。
まだお読みでない方は、
つぎにこのような本にブックサーフィンしてみてはいかがでしょう。
精神病院の話。
主人公と他の患者との関わりなんかが割と軽めに、面白くかかれてます。
ということで、
まず奥田英朗の「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」と比べてしまいました。
病気についてもくわしくかかれてます。
ということで、
病態がとてもくわしくかかれていた
絲山秋子の「逃亡くそたわけ」なんかも比べざるをえませんでした。
再生までの話。
ということで、
どちらかというとノンフィクションに近い、再生への道のりをえがいた
鴨志田穣の「酔いがさめたら、うちへ帰ろう」
なんかとも比べちゃいました。
これ一本だけだったら、
非常に面白かったかもしれないんです。
でもなんか、最近こういうところを舞台にしたのって多いですよね。
わたしは、これまでの読書経験から、絶対評価ではなく、相対評価しか与えられなかった。
他のどれとも比べられないような、絶対的な魅力がわたしにはちょっと伝わらなかったです。
解説は枡野浩一。
読みやすそうにみえて、
身内でほめあってる感じのする解説でした。