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神様の暇つぶし
著者 千早茜
親を亡くし一人になった20歳の夏、父よりも年上の写真家の男と出会った――。
男の最後の写真集を前にあのひとときが蘇る。妙に人懐っこいくせに、時折みせるひやりとした目つき。
臆病な私の心に踏み込んで揺さぶった。彼と出会う前の自分にはもう戻れない。
唯一無二の関係を生々しく鮮烈に描いた恋愛小説。
解説・石内都
※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
神様の暇つぶし
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2024/07/28 02:43
また読んでみたい作家
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投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る
次に読む文庫を買うため、いつもの習慣で立ち寄った書店の文庫コーナーで、たまたま目にはいったこの作品を手に取った。
本当は、次に読もうと思っていた本は決まっていて、それを買いさえすれば良かったのに、何故かこの作品を選んでしまった。
初めて読む作家である。なのに、迷うこともなく、購入した。
本に呼ばれたような気がした。
結局、その日買うつもりだった作品は買わなかった。
読み始めて最初に感じたのは、幼い頃母に去られ、父をも喪ってしまった藤子の深い孤独感だった。
はたちの女子大学生と30歳以上も歳上のおじさんとの恋愛なんて、果たして感情移入できるのか?
そう疑いつつ読み進めて行く。
孤独な魂と魂が求め合って…などと言うと月並みだけれど、きっと世の中には、いろいろな形の愛があるんだな。あっていいはずだ。
全さんの秘密を知らないまま長い時を過ごし、心の中にいつまでも決着のつかない思いをかかえている藤子に、終盤、わずかだが明るい光が射したようでうれしかった。
また違う作品を読んでみたいと思わせる作家である。