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勿忘草をさがして
著者 真紀涼介(著)
一年前、偶然出会ったお婆さんに会いたい。しかし手掛かりは、庭に良い匂いの沈丁花が咲いていたことと、その庭でお婆さんが発した不可解な言葉だけ――。思わぬトラブルによりサッカー部を辞め鬱屈した日々を送る航大。春を告げる沈丁花の香りに、親切にしてくれたお婆さんのことを思い出し、記憶を頼りにその家を探していたところ出会ったのは、美しい庭を手入れする不愛想な大学生拓海だった。拓海は植物への深い造詣と誠実な心で、航大と共に謎に向き合う。植物が絡むささやかな“事件”を通して周囲の人間関係を見つめなおす、優しさに満ちた連作ミステリ。鮎川哲也賞優秀賞受賞作。/【目次】春の匂い/鉢植えの消失/呪われた花壇/ツタと密室/勿忘草をさがして
勿忘草をさがして
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勿忘草をさがして
2023/07/03 07:37
航大くんと拓海さんの友人関係がいい
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投稿者:moon - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の航大くんと大学生の拓海さんとの友人関係がいい。
ある問題でサッカー部を辞めざる負えなかった航大、手折られるように行き場を無くした彼に優しい人たちが水を差し入れ日常を潤わし、不安定な足場を少しずつ固めてくれた。サッカー部に戻ることが解決とかじゃなくて、離れてからの先に出会い巡りあった人や物事によって、航大くんの心が癒されていく過程が良かった。読んでいてこちらも癒される。
拓海さんの泰然自若なところも好きです。植物オタクのスイッチが入ったときの彼は楽しいし膨大な知識量に航大くんがスマホのメモ機能を出してもう一度お願いします、と言ったときの反応は笑ってしまった。そんな彼にも悩みはあって、航大くんの成長が実を結んでいく。
日常ミステリーなんだろうけど、若者たちの成長物語でもあって、ヒューマンドラマとしても読み応えがありました。とても好きです。この著者さんの作品を今後も追っていきたいです。