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13件
自閉症の僕が跳びはねる理由
著者 著者:東田 直樹
「僕が跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです」(本文より)
人との会話が困難で気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、著者が13歳の時に記した本書。障害を個性に変えて生きる純粋でひたむきな言葉は、当事者や家族だけでなく、海をも越えて人々に希望と感動をもたらした。世界的ベストセラーとなり、NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」でも放映された話題作、待望の文庫化!
デイヴィッド・ミッチェル(英語版翻訳者)による寄稿を収録。
自閉症の僕が跳びはねる理由2
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2016/11/06 19:33
驚くべき本
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tora - この投稿者のレビュー一覧を見る
知的障害の娘を持つ私にとっては、自閉症者は身近な存在だ。
娘のクラスメートやルームメートの中に、いつも「跳びはねる」自閉症者は存在した。
しかし、この本を読むまで、彼らの内面がいかに「独特」であるか、そしてその独特の症状や「健常者」の態度によって、いかに彼らが苦しめられているか知らなかったし、それ以上に彼らの内面がこれほど知的で豊かであることを、全く分かっていなかった。
自分の無知と想像力のなさに恥じ入るばかりである。
この本によって、自閉症者の家族がどれだけ勇気づけられたか、想像に難くない。
また、ややもすれば「普通」(「健常者」と同じ)に振るまうことが障害者教育の目標にされてしまっているにも、一石を投じる内容だと思う。
この本の中で特に印象深かった言葉。
「15.表情が乏しいのはどうしてですか?」の中の一部。
「人の批判をしたり、人をばかにしたり、人をだましたりすることでは、僕たちは笑えないのです。僕たちは、美しい物を見たり、楽しかったことを思い出したりした時、心からの笑顔が出ます。」
自閉症の僕が跳びはねる理由 1
2019/09/06 09:17
自閉症の少年が、本当に書いたの?
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
自閉症の少年(当時)が、本書を本当に書いたの?
特に掲載されている短編小説「側にいるから」を自閉症の少年が書いたなんて、読んだ直後は本当に信じられませんでした。
それとともに、自分が如何に自閉症に対して、無知であったかを思い知らされました。
多くの皆さんは、本書を読む前の私と同様、自閉症の人たちは、知的障害があり、コミュニケーションがとれず、そのため孤独を好み、他人に興味がなく共感もできない。そんなイメージを持っているのではないでしょうか。
しかし、本書はそれが明らかに誤った見解であることを教えてくれます。
1例を紹介しますと、短編小説「側にいるから」では、主人公の少年は家族の幸せのために何ができるかを真剣に考えます。神様に家族の幸せを懇願します。
他人に共感できない人間がこのようなストーリーを考えられるでしょうか。
読者の涙を誘うぐらいの素晴らしい小説です。
ディヴィッド・ミッチェル氏(英語版翻訳者)の解説によると、著者の東田直樹氏は、中学生の時に本書を聞きあげています。東田氏はかなりの重度の自閉症者で、会話によるコミュニケーションは、現在でもほぼ不可能とのことです。
でも、そのような自閉症者の東田氏が本書のような著述ができるという素晴らしさを多くの皆さんに知っていただきたい1冊です。
2020/11/04 02:49
自閉症への理解
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あゆみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んで自閉症に対する見方が変わりました。現代という社会の枠組みの中で、自閉症は発達障害と見なされているだけであって、社会のあり方が変わったら、「誰が健常者なのか」との定義も変わるのだろうと思いました。その時代、その社会にたまたま適応する人を健常者と読んでいるだけであって、それが永遠の真理ではないことに気が付かされました。