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野菜讃歌
著者 庄野潤三 (著)
丘の上の家に移り住んで幾十年が経ち、“禿山”だった庭には木々や草花が育ち、鳥達が訪れる。巣立った子供や身近な人々の間を手作りや到来の品が行き交い、礼状に温かく心が通い合う。「野菜が好き」と語り出す食べ物の話、父母や師友への追懐、自作の周辺等、繰り返しとみえてその実同じではあり得ない日常を、細やかな観察眼と掌で撫でさする慈しみを以て描き静かな感動を誘う随筆43篇に、中篇「私の履歴書」を併録。
野菜讃歌
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紙の本野菜讃歌
2010/06/23 06:45
ありがとうをふやそう
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
素直なことばがすうっとひびく本でした。
庄野潤三にありがとうをいいたい。
何も起こらないようで、
毎日同じなんじゃないかと思える日々でも、
よくみればよろこびがあり、同じ日なんかない、
ということをいつも教えてくれる作家です。
歳をとることに対して否定的になりがちですが、
子どもが家を離れ、夫婦ふたりきりになった生活を、
「新たなよろこび、新たなたのしみがあるから、ちっともさびしくない。」
「私たちのたのしみはふえてゆく。」
ととらえている文章が印象的でした。
歳とるの、悪くないかも。
庄野潤三にありがとうをいいつつ、
なんでもない日にありがとうを言いたい。
感謝の気持ちをふやそう。
「私の履歴書」が収録されており、
さらにこの作家のことがよくわかった気がします。