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入門 哲学としての仏教
著者 著:竹村牧男
仏教って、こんなに新しく面白かったのか! 常住不変な存在としての「私」を否定する無我。主客二元論を根本的に否定する縁起。無意識の世界、絶対現在の時間論等、現代西洋哲学を先取りした思想に迫る。(講談社現代新書)
入門 哲学としての仏教
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2020/08/18 08:31
仏教には、関係主義的世界観という新しい「知」がある。
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投稿者:三分法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
仏教の目的は、自己を知ること(己事究明)にあるが、哲学としての深い「知」を有している。たとえば、縁起の思想は、実体論的世界観対して、新たな「知」としての関係主義的世界観を明らかにしている。ここで、「新たな」というのは、「最近の」という意味よりも、西洋哲学や合理主義的科学的知にはないが、現代人や現代世界に有用、であるという意味である。新しい知の具体的な実例を一つ挙げれば、個人は唯一では成立しない、すなわち個人は他者との関係に入ることなしにはありえないという矛盾的事態(自他不二)が個人の実相である、という思想が仏教にはある。このように「個人」を了解できれば、単なる他者は他己となり、他者の苦しみは自分の苦しみとなり、共感・共苦を根本とする世界が成立してくる可能性があるのではないか。心の深みを追求していくと現実の世界そのものに出てくるのである、と著者は訴えている。