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超解読! はじめてのヘーゲル『法の哲学』
『精神現象学』と並ぶヘーゲルの代表作、超解読ついに完成。難解な「ヘーゲル語」をかみ砕き、近代社会の「原理」の書として読み直す。
予備知識なしに、重要哲学書がわかる「超解読」シリーズ!
所有、契約、責任、犯罪と刑罰ーー社会の基礎をなすさまざまなルールは、どのような根拠があれば「正しい」と言えるのか? そして「よき」社会、「よき」国家とは? まさにわたしたちが今生きている世界の「原理」を考える。
ヨーロッパ哲学史上、最も重要にして最も難解なヘーゲルの主著を、おなじみのコンビがわかりやすく読み砕く。
超解読! はじめてのヘーゲル『法の哲学』
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超解読!はじめてのヘーゲル『法の哲学』
2022/02/03 02:04
ヘーゲルからの宿題
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:redon - この投稿者のレビュー一覧を見る
「行動する良心」と「批評する良心」との和解と相互承認によって歴史は完成する、はずだった。しかし今の世の中を見ると、とうていそんな高次元の精神にはたどり着けない気がする。私たちはヘーゲルの語ったストーリーを逆戻りしているのかもしれない…考えさせられる。
2021/02/27 10:43
分かりやすいが疑問点も残る
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読書メモ - この投稿者のレビュー一覧を見る
難解であることで知られる『法の哲学』を平易に解説した良著。著者の読み方も説明されており、近年のヘーゲル研究との対照もしやすくなっている。
疑問点1:ヘーゲルの「自由」は、現代のわれわれ、あるいは著者が念頭に置いている自由と同じものなのか?背景としては、キリスト教、ゲルマン民族、ローマ法といった複数の理念があり、これらに染められた「自由」の問題点を指摘したのが、冒頭で少し出てきたポストモダン思想だったはず。この問題に踏み込まなければ、ヘーゲルの「自由」を前提とする正義の今日的価値も、未確定ではないのか。
疑問点2:ヘーゲル市民社会論は「生存権」「社会権」の基礎付けとなりうるのか?確かに、市民社会は個人に対して配慮する義務を負うとされる。その理由は、市民社会が普遍的家族であり、個人は市民社会の息子であるから。しかし、ヘーゲルの家族論(観)において、息子は親に対して主体的に権利を主張する地位にあるようには見えない。「扶養され養育される権利」とは、あくまで、そうされることが正当であるという意味であり、そうされることを(市民社会における権利のように)主体的に請求する権利が息子にあるという意味ではない。したがって、ヘーゲル市民社会論から導かれるのは、立憲君主制におけるおこぼれとしての配慮であり、正当な権利としての「生存権」「社会権」ではない。この意味で、「生存権」「社会権」からは程遠いと言うべきではないか。
もっとも、このような疑問を持つことができたのも、著者の問題設定と平易な解説のたまものである。