- 出版社: 講談社
電子書籍
隠れたる事実 明治裏面史
著者 伊藤 痴遊
かつて歴史とは、説き去り説き来たるものとしてあった。横浜生まれの自由民権の闘士がその抜群の話術を駆使し、無念にも散っていった有為の漢(おとこ)たちの志と怒りを語り、いつしか時代に取り残されてしまった者の悲しみを嘆じ、いま幅を利かせる顕官の人物と過去の行状を暴くとき、人びとはまったく別の相貌を帯びた維新の姿を知った。薩長中心の見かたから一線を画す、史談史論の雄篇。
隠れたる事実 明治裏面史
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評価内訳
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2020/08/20 21:59
「...史」とあるけどまるで見てきたような臨場感
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
パラパラめくってみると、「...史」というタイトルなのに、時の政治家たちの会話が各所にちりばめられているではないか?このまるで観てきたかのような内容は?
...と思って著者のプロフィールを見れば、伊藤痴遊(いとうちゆう)、1867年(慶応三年)~1938年(昭和13年 明治、大正、昭和最大の風刺家。ジャーナリスト、衆議院議員。政治講談を語った講釈師とある。
つまり、大政奉還の年に生まれたぎりぎり江戸時代生まれのヒト。成人して後は、政治活動もやってたということなら、見てくるのは無理でも、まだ生き字引的人は存命で、彼らから聞くのは十分に可能だったし、政治講談をやって人気を博していただけあって、その会話部分が臨場感ありまくりで、もうめっぽう面白いです。
小説やドラマ、映画などでは、徳川慶喜の大政奉還→鳥羽伏見戦争→王政復古→廃藩置県のあたりで、一息つけた的描き方をするけれど、これらメジャーな歴史的事実の裏事情。もうはじまっている混乱ぶりが(不遜ながら)面白い。
せっかく内戦も終わったというのに、そのころから、教科書的大物政治家たちが嵌められて刑死したり暗殺されたり。そこに講釈師的風刺がちらり隠し味的にまぶされて、チクリ。さすが裏面というだけあって、まったく知らなかったことばかりでした。