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しんがりの思想 反リーダーシップ論
著者 著:鷲田 清一
やかましいほどにリーダー論、リーダーシップ論がにぎやかである。いまの日本社会に閉塞感を感じている人はとくに、大きく社会を変えてくれるような強いリーダーを求めている。しかし、右肩下がりの縮小社会へと歩み出した日本で本当に必要とされているのは、登山でしんがりを務めるように後ろから皆を支えていける、または互いに助け合えるような、フォロアーシップ精神にあふれた人である。そしてもっとも大切なことは、いつでもリーダーの代わりが担えるように、誰もが準備を怠らないようにすることであると著者は説く。人口減少と高齢化社会という日本の課題に立ち向かうためには、市民としてどのような心もちであるべきかについて考察した一冊である。
鷲田清一(わしだ・きよかず)1949年、京都生まれ。哲学者。京都市立芸術大学学長。大阪大学名誉教授。せんだいメディアテーク館長。専門は臨床哲学・倫理学。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。関西大学文学部教授、大阪大学教授、同大学文学部長、総長、大谷大学教授をへて現職。著書に『分散する理性』『モードの迷宮』(以上2冊でサントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)、『「待つ」ということ』、『哲学の使い方』など多数。2004年、紫綬褒章受章。
しんがりの思想 反リーダーシップ論
05/22まで通常902円
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しんがりの思想 反リーダーシップ論
2024/04/20 16:41
共感を覚える一冊
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BK2_kwsk - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題の反リーダーシップは、著者が力を込めて書いたメインテーマではないように思う。主な議論は、かつて地域社会が担ってきた仕事、ゴミ処理や冠婚葬祭などが専門化して、役所や専門業者が担うようになったことで、現代の地域社会は機能が低下しているという指摘が柱なのではないかと思う。
その他、現代の日本社会について、多くの指摘が展開されているが、その多くは、普段の自分が折に触れてぼんやりと感じたり、考えたりしていることと一致。共感を覚えつつ読んだ一冊となった。
しんがりの思想 反リーダーシップ論
2015/11/17 20:44
しんがりの思想
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たる - この投稿者のレビュー一覧を見る
「成長」の予感が安心をもたらす社会、「縮小」へとなかなかに反転できない社会というのは、実は未来をあなどる社会ではないだろうか。社会が人口減少に向かうなか、まず脱ぎ棄てなければならないのは、どうもこの頑迷な感覚のように思えてならない(p25)右肩下がりの時代だからこそ、問題を未来の世代に持ち越してはならない。先頭で道を切り開いていく人(従来のリーダーシップ)よりも、特定の世代に負担が集中していないかと仲間の安全を確認してから最後に引き上げる「しんがりの思想」が重要となる。