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15件
生徒会の一存短編集
碧陽学園生徒会――そこは美少女四人が集う楽園だが、唯一の異性にして汚点が存在する。その汚点……え、大黒柱って言え? まあいいやどっちでも……副会長の杉崎鍵には、誰も知らないもうひとつの顔があった。新キャラの美少女&美少年も交えての危険な学園生活に加え、杉崎の女、金、闇の仕事があばかれる衝撃展開!? ……なんて一応言ってみたけど、実際は、生徒会の相も変わらぬ日常会話が惜しげもなく詰め込まれてるだけの一冊です。短編集って……もとから短編じゃん!
生徒会の周年 碧陽学園生徒会黙示録9
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生徒会の日常
2008/10/27 18:10
生徒会室から飛び出した日常話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
あのグダグダ生徒会の外伝的位置付けな短編集。健と深夏の2年B組に転校生がやって来るストーリーを中心に、くるむと知弦の3年A組の話もあり、ドラゴンマガジンに関わる生徒会の話や、一遍ながら健の過去話もある。盛りだくさんとも言えるが、このシリーズはやはり生徒会メンバーが全員揃って成立するものなので、どの話も少しずつ何か足りない感じがする。それでもそれぞれの話にそうした不足を補うキャラが登場して華を添えている。あの中目黒君や宇宙姉弟などは今後も登場して欲しいキャラである。それにしてもブルマ姿の生徒会長という表紙カバーイラストは反則だろう。もともと強烈な萌え絵なのにこれでは(ごく一部には)破壊力あり過ぎ。
生徒会の水際
2011/03/11 04:50
スピンオフのスピンオフと鍵の努力と知弦さん萌え
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすがに苦しいネーミングになってきた外伝の第4弾。2編ある書き下ろし短編の1つが本編に関わる内容を大いに含んだ鍵の過去編として特筆されよう。1人で努力し続けた果てに訪れる限界を打破する展開に図らずも胸がアツくなる。
【フィギュア化する生徒会】 初出:ドラゴンマガジン2010年1月号
外伝の出だしとしては、まぁ、いつもの内容。会長フィギュア製作が議題なので当人の暴走が著しいものの、そのキレは少し鈍い気もする。しかもオチが結構投げやりというか投げっ放しというか。
【一年C組の現状】【秋峰家の事情】【僕らの私情】 全て初出:ドラゴンマガジン2010年7月号付録
全3話の中編。真冬ちゃんのクラスメイトの話なので、スピンオフのさらにスピンオフという位置づけか。ギャルゲ的もしくはラノベ的にあまりにも恵まれた環境に反して想いが成就しない少年の悲哀(?)が滲み出ているが、まぁ、要するにニブチンという微笑ましさである。ちょっぴり切ない設定を盛り込んだり、他のクラスメイト達がこぞって偏執ハイテンションだったりするところは本シリーズらしいが、本編からの距離があり過ぎるせいか読み手のノリはイマイチになるかも。しかし、3話目で俄然面白くなるし、期待通りの結末なので最終的には悪くない印象となろう。
【すぎさきメモリアル】 書き下ろし
生徒会に優良枠で入るまでの経緯を綴った鍵の過去編。いわゆるどん底からの奇跡的な成功物語ではあるのだが、強力なライバルとして登場する無愛想毒舌眼鏡っ娘同級生の存在が際立っている。『覚悟が足りない』と念願成就の険しさを示しつつ、1人で全てを背負うことの限界と、努力とは時に周りの協力を支えに成り立つことも同時に描かれている。
【盗聴知弦四変化】 書き下ろし
知弦さんが何故にコスプレ四変化祭と化しているのか?そして盗聴とは?等がこの話の肝になるのだが、これら全てが読み手を凄まじく悶えさせる理由によるものである。これは堪らんという知弦さんの心の声が聞こえてくる。本シリーズならではの(知弦さんの)言動の下世話さと想いの純情さが描かれた好エピソードと断言したい。
生徒会の火種
2010/03/21 23:00
シリーズの幅と奥行きを示す短編集第3弾
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
「日 → 月」の次はてっきり「年」絡みだと思ったら『曜日』だったのね、というタイトル。表紙を飾る真冬ちゃんのスク水姿はナイスなれど、巻頭カラー口絵の、とりわけ知弦さんの破壊力にやや持っていかれた感もある短編集第3弾(全8編、内、書き下ろし4編)。
本巻の見所その1は修学旅行であろう。何故か寝台列車で、そして風変わりな配置での就寝前の駄弁りから、旅行先の名所を、鍵の被害的ドタバタで巡り、そして自称(?)トップアイドル星野巡こと宇宙巡が鍵と変わった自由時間を過ごすまでが全3話で描かれており、これが実に面白い。中目黒クンの存在感侮りがたし!に加えて、今回は弟の守が訳あって実質的には途中退場したものの宇宙姉弟も活躍している。そして、中目黒クンを愛でつつも鍵にからかわれ、時に逆襲する関係で脇をしっかり固めるクラスメイトの面々。ボケとツッコミが重層的にしっかり機能した役割分担の面白さを充分に発揮しながら、「よい子はマネしちゃダメだよ」な、しかしライトノベル的には愉快な旅行が進んでいく。そして、最後に巡のいじらしくて可愛らしい念願の行方に繋がる流れが微笑ましかった。今回は思いの外積極的だった巡の想いを鍵はどうしてこうも曲解するのか、というもどかしさもまた楽しさの1つであろう。
そして、本シリーズの根幹を別の意味で彩る過去回想話が見所その2。奇しくも知弦さんが呟いた「叙述ロジック」の盲点を突いた構成で、冷めた登場人物に反してアツいどんでん返しとなるカタルシスが心地良い。シンプルなトリックだけに、してやられた感を味わうニクい作品で、オチも秀逸である。
思えば生徒会のメンバー、特に会長の出番がかなり少なかったが、番外編たる短編集としては、むしろシリーズの幅と奥行きを示すことになり、内容も含めてなかなか良かったと思う。