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学校の階段の踊り場
夏の日、亡き父の実家を従姉達と訪れた幸宏は……『盂蘭盆会』/それは、天栗浜高校の新たなるアイドルを選出すべく集った漢達の熱き物語――『女神委員会』/神庭家に押しかけてきた男子達の不毛な夜と、天ヶ崎家で催された華麗なるお泊り会の行方を描く『夜明けの階段』ほか全5編でお贈りする『学校の階段』待望の短編集。階段レースは無くてもビバ青春の無駄足! 新キャラ大量投入&神庭4姉妹成分大増量(当社比)の青春グラフィティ・バイブル!!
学校の階段の踊り場1
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紙の本学校の階段の踊り場 2
2010/11/06 00:13
様々な人物の内面を描いた短編集
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファミ通文庫のサイトで見た、作者の『美冬姉さんの出番がほとんどありません』とのコメントに軽く愕然としたが、他にも魅力はあるからと思い直して読み始めたら、これが面白くて止まらない。5編の短編それぞれに趣きがある。それぞれの視点で綴られた物語が新鮮でもあり、従前のガッカリ感は無用だったとお詫び申し上げたいくらいである。
【年越しの階段】 ほぼ神庭幸宏の一人称
本巻唯一の階段レースは、初詣先の神社で繰り広げられる1000段の長丁場。スピーディーな前半とホラー&ミステリー(?)な後半とに分かれている。ありがちなオチだったが、それまでの過程(伏線)に妙味があった。参拝客で賑わう初詣にどうやって階段レースを?との疑問にもきちんと理由を設けている。
【恋愛とチョコレート】 三島真琴の一人称
幸宏への想いや御神楽あやめの登場で何かと想い悩む三島さんが、自らを叱咤し、鼓舞すべく逆襲の一手を決める話。思いの外ラヴ成分が詰まった三島さんの内面が実直に綴られている。
【チョコレートと恋愛】 書き下ろし、御神楽あやめの一人称
上の話を御神楽さん視点で綴った裏ストーリー。実に点対象のような立ち位置の違いと御神楽さんならではの権謀術数が描かれるが、「策士、策に溺れる」的な手痛い一手を喰らう狼狽や、その後の感情が表に出た方がいいのに、という御神楽さんの欠点が示される話でもある。
【エンドレスフォー】 中村ちづるの一人称
本編でもいい味を出していた中村さんの胸の内は思った以上に悶々としている。面白いわぁ、この娘。びっくりするくらい刈谷ラヴなのに、「小娘」と揶揄する元階段部部長と喰えない元生徒会長が常に割り込んでくるやるせなさが毒舌で吐露されている。実は必死に頑張っている元生徒会長や、ここで想いがはっきりした元階段部部長といった事実も判明している。
【予兆】 書き下ろし、井筒奈美の一人称
井筒(妹)の話。本編から1年繰り上がった新学期で、ある意味正統な後日談と言える。挫折で燻っていた自称ヘタレ妹が立ち直る話だが、同じくヘタレな幸宏が最後にキメる場面がある。部長や刈谷が去った後の階段部の様子も窺え、上の話にも出てきた中村さん(妹)の「その後」も描かれるオマケ付き。実は相応に未消化な事柄があり、場合によっては続編執筆可能か?という含みが無きにしも非ず……。
紙の本学校の階段の踊り場 2
2010/11/07 01:40
目指すべき先を探して
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
FBonline掲載の短編3本と書き下ろし2本が掲載されており、後者のうち1本は本編完結後のエピソードになっている。
大晦日から元旦にかけての初詣を兼ねた千段の参道レースを描く「年越しの階段」、三島真琴視点でバレンタインのエピソードを描く「恋愛とチョコレート」、御神楽あやめ視点で同じ出来事を描く「チョコレートと恋愛」、九重ゆう子・刈屋健吾・遊佐由宇一・中村ちづる四人の関係を描く「エンドレスフォー」、そして、新しい年度になり新入生を迎えた天栗浜高校で、井筒研の妹の井筒奈美と神庭幸宏の出会いと再スタートを描く「予兆」を収録している。
真ん中の三篇は、サブキャラ視点で本編の時系列の中の物語を描きなおしているので、これまでとは違った人間関係の印象を抱くかも知れない。また、最後の一編は、まさに新しい物語のスタートという感じに仕上がっていて、目標を失って自暴自棄になりかけている井筒奈美に前を向かせるセリフを放つ神庭幸宏が格好よい。
まだまだ今回触れられなかったキャラクターたちも大勢いるので、機会があれば彼らの事後談が描かれるのも面白いと思う。
紙の本学校の階段の踊り場
2009/04/03 00:22
本編クライマックス直前のブレイク
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきで作者自身が明言しているように次巻で完結を迎える本シリーズの、そのクライマックスを直前に控えたほんのひと時を楽しむ短編集である。全5編だが巻頭カラーイラストが4頁の漫画になっており、ここで希春姉さんの学生時代のエピソードが綴られている。希春姉さんが幸宏ラヴになるきっかけを描いた小噺である。
【女神委員会】本編の裏側で行われている『女神委員会』の模様がダイジェストで描かれている。面白い。野郎どもがくだらないことをクソ真面目に取り組む馬鹿馬鹿しさがアツイ。現会長の武勇伝なエピソードと幸宏の旧友の【吉田】の魂の叫びが重なる展開も秀逸。次期会長決定(?)の瞬間かもしれない。【夜明けの階段】幸宏が全身真っ赤になって担がれた体育祭当日夜の様子である。女性陣と男性陣がそれぞれ天ヶ崎邸と幸宏宅に集まって過ごすシーンが同時進行的に綴られる。男性陣が神庭4姉妹をネタに「男らしい」会話をしたり、女性陣が意中の男をネタにキャーキャー言い合うのかと思ったが意外にフツーだった……男性陣の罰ゲームを除いては。【プリンはどこへいった?】幸宏の生徒会サイドのミステリー(?)モノ。しかし幸宏は登場しない。数の合わないプリンの行方を巡る謎解き展開だが犯人とオチは容易に想像できる。【サンタ同盟】幸宏と美冬姉さんの幼少時の話。それだけ。【盂蘭盆会】夏休みに実家へ里帰りした時の話だが、よく考えれば幸宏+4姉妹の祖父母は同じなんだよな、と妙に納得する。幸宏の父母のことが出てきて切ないようなほろ苦いような感じにもなるが、かといって暗い展開にはならない。むしろ幸宏が美冬姉さんに対して少し頑張っちゃったことの方が驚きかも。よくやった幸宏クン。今回は美冬姉さんの挿絵が多くてナイス。