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ギフテッド
世界最高峰の企業天子峰 ── その幹部候補生が閉鎖都市に集められた。ただし、人権のないZランクの市民という扱いで。 候補生のひとりである俺、加納弥助は、数々の天才たちと共に幹部を目指すことになる。勘で必ず正解を言い当てる小学生、エル。才色兼備の同級生、光明寺綾芽。暴走族風の謎めいた男、伊勢七彦。 幹部になることができれば、途方もない金と地位が手に入る。栄誉を求め、天才たちが命を賭けるゲームが始まった。
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紙の本ギフテッド 2
2015/09/17 11:05
選挙を操作しろ!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
国家テシミネを建国するに至った巨大企業の天使峰コーポレーション幹部登用試験に、光明寺綾芽は上級主査として、加納弥助は中級幹部補一種として、黒田枝流夢は下級幹部補三種として合格した。可能な限り早く、トップである七賢人にのし上がりたい綾芽は、チャレンジシステムという昇進システムを利用する。
七賢人のひとり三里信一郎に心酔する下級課長の山県美恵子から提示された試験の内容は、オリハルコン鉱山を保有するナバサ共和国大統領選挙に勝利することだ。天使峰と契約していた大統領が急死してしまったため、その影響力の維持が重要なのだ。
綾芽の呼ばれた弥助と、彼についていくことを決めている枝流夢は、瀕死の患者でもある上級係長ケネスと補佐役の上級主査ヤン、そして反天使峰企業連合「イデア」の長良喜平を抑え、選んだ候補を当選させなければならない。
前大統領の息子であるピエト・ホラント・ジュニアは政治理想も高いがプライドも高く人望がない。アフマド・アリフィンは資金力は豊富だが売国奴とも言える人物。そして将軍ヴィム・パウルスは潔癖だが柔軟さがない。
天使峰の利益と自分の思想信条、そしてナバサ国民のこと、それぞれのどれを優先して候補を選び、どんな選挙戦略で挑むのか。綾芽がそれを検討する間、弥助は枝流夢と共に国の困窮する現状を知り、彼らに自活のための援助をする。
そんな中で、弟妹のために幼くも働くアイシャと知り合い、行き倒れている武士風の男の北方捨丸と知り合ったりもするのだが…。
基本的には、綾芽が昇進にチャレンジする話なのだが、その手伝いをする弥助にスポットが当たる場面が多い。三里信一郎が綾芽に目を付け、七賢人のひとり石刀昴が弥助を気にかける中、未だ幹部としての経験が足りない二人は、自分の至らない点と、幹部として何が求められているのかを、実戦の中で学んでいく。
弥助を巡って小学生の少女二人がさや当てを繰り広げるなど、ラブコメ要素としてはロリ気味だが、この作品の中心は権謀術数とその中で繰り広げられる人間ドラマにあると思う。
紙の本ギフテッド 1
2015/08/25 13:43
才ある者が競い合う
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界に絶大な影響力を誇る天使峰コーポレーション。それはついに国家テシミネを誕生させるに至り、世界の主要七地域にその飛び地となる領土を持っている。その中では、彼らの論理で法律が作られる。
その幹部登用の方式は特殊だ。年齢・人種・性別などあらゆる制限を設けず、幹部試験に合格した者のみが幹部になる資格を持つ。その試験に挑むのは、高校生の加納弥助だ。そして予備試験を突破した幹部候補生たちは、愛知にあるテシミネの領土に集められ、試験内容が告げられない試験にかけられることとなる。
同じ試験を受けることになった高校の後輩の光明寺綾芽や、彼に懐いてくる小学生の黒田枝流夢、金髪に黒の特攻服姿の伊勢七彦、官僚あがりの一宮忠志や、学究肌の枇杷島清美、オタクの本郷正信らと時に仲間になり、時に疑いながら、彼らの命を何とも思っていない様に振る舞う教官・金山武蔵の圧政に耐えつつ、本来の目的に向かって邁進していく。
最近の電撃文庫の作品で言うと「ライアー・ライセンス」の様な、ちょっとダークっぽい、暴力あり陰謀含みの心理戦を描いた作品だろう。才能を持った人間を集め、彼らにその能力を持って競わせ、さらなる優秀な人物を選び出すという蠱毒の様なゲーム。そしてそのゲームを抜け出せば、現実という、それよりももっと何でもアリな世界が広がっている。
設定的には色々と出来るし、駆け引きの様子を描くのはとても面白いと思うのだが、ちょっと独りよがりチックなところがあって、読者を置き去りにしている部分も見受けられる。陰謀や駆け引きは、現実では伝わらないからこそ成功するのだが、物語では読者に伝わらなければその感動がない。この矛盾を乗り越えて、次巻も面白い物語を期待したい。