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シロクロネクロ
ちょっと……というか死ぬほどえっちな高校二年生・不二由真(ふじゆうま)は、不慮の死からゾンビとして蘇った。彼を蘇らせたのは、善い屍霊術師(ネクロマンサー)・シロネクロの高峰雪路(たかみねゆきじ)── 彼女は父から受け継いだ秘宝“死者の書(ネクロノミコン)”を悪い屍霊術師・クロネクロに狙われ、由真が巻き込まれ死んでしまったことを教える。そして雪路は、由真を守るために 「一緒に暮らしなさい」 と命じるのだった。 「女の子との共同生活=脱・童貞!!」 と喜ぶ由真だが、「欲望を満たす=即・成仏!!」 と知って悶絶する。 シロネクロの名門・アクセルロッド家の令嬢ソファイアも仲間に加わり、可愛い女の子に囲まれバラ色の日々、のはずが……!? 第17回電撃小説大賞<大賞>受賞作!
シロクロネクロ
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紙の本シロクロネクロ White Necromancer & Black Necromancer
2011/04/23 07:50
明るく元気でちょっぴり暗い
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の不二由真は、廃園になった遊園地でゾンビに殺されてしまう。特に彼を狙ったわけではなく、巻き添えを食っただけだ。彼が巻き込まれたのは、クロネクロと呼ばれる悪いネクロマンサーが狙う、ネクロノミコンをねらう戦いだ。
そして不二由真は、そのネクロノミコンを持っているという善いネクロマンサー、シロネクロの高峰雪路によって、ゾンビとして蘇らせられる。
学校では目立たない格好をしているので気付かなかったけれど、実はクラスメイトだった高峰雪路によれば、完全な人間として復活する方法もあるらしい。
それまでの間、彼女の家に居候することになるのだが、実は不二由真をゾンビとして蘇らせた根源は、彼の女の子とエッチしたいという欲望。だからその欲望が満たされれば成仏してしまうのだ。
そんなわけで、女の子の家にいながら禁欲生活を強いられる不二由真なのだが、クロネクロのネクロノミコンを狙う企みはどんどんエスカレートして来る。
非常に軽い感じの主人公が、一回死んでいるにもかかわらず能天気に、ヒロインにしつこくアプローチをしていく。一見すると迷惑行為みたいなんだけれど、最後まで読むとヒロイン側からは別の見方があったことに気づかされる。
そして、死者を蘇らせるという技法が設定にある以上、死んだ人に対する想いというのが大きな要素として入って来ることは免れない。そしてその要素が加わることで、前半の軽さに対して、後半に変化が生じる。この落差が良い感じ。この落差は「変態王子と笑わない猫。」に通じる部分もある。また、エロ禁止設定は「オワ・ランデ!」「だから僕は、Hができない。」にも共通している。
本来の電撃文庫のターゲットであろう、中高生男子に照準を据えた印象のある大賞受賞作だったと思う。
紙の本シロクロネクロIII
2015/09/14 11:25
ビーチと言えば水着だね!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
シロネクロの高峰雪路と出会ったことでゾンビになってしまった不二由真だが、特に後悔はない。何故なら、雪路とソフィア・恵里香・アクセルロッドという、二人の美少女と知り合いになれただけでなく、一つ屋根の下で暮らせるようになったからだ。しかし雪路は、絶対に由真を人間に戻すと言い、その研究に余念がない。それは、この修学旅行先でも変わらなかった。
比良坂高校の修学旅行先は、めんそ~れ沖縄!沖縄と言えばビーチ、そして水着のわけで、由真のテンションが上がらないはずはない。雪路にソフィア、そして由真に好意を寄せる普通の女子高生である大塚桜と友人の関谷和弥という5人で行動している間も真面目さを崩さない雪路を水着に着替えさせ、瓶底めがねも外させて、沖縄でのビーチデビューを果たさせる。そのあまりの人気ぶりに、望んでやったことのはずなのに、どこか釈然としないものを感じる由真。
そんなパラダイス沖縄で、クロネクロのプラトーンとそのゾンビであり、妹の岸谷瑠衣を生き返らせようとするクロネクロでもある岸谷万里王と遭遇し、一気に萎えてしまう。彼らの目的も、雪路と同じく、得真三次と言うクロネクロに利用された高僧ネクロマンサー波多守の遺産だった。
しかし由真にはアドバンテージが二つ。一つは佳奈と言う少女の幽霊と出会ったこと。そしてもう一つは、シロネクロの師匠であるマトリのサポートを得られることだ。
沖縄の離島で繰り広げられる、最愛の者を生き返らせるという夢想に取り憑かれてしまった悲しい親子の物語と、それに自分たちの生き方をダブらせる少年少女たちの決断が描かれる。
相変わらずエロ妄想を暴走させて、お約束の行動をしまくる由真だが、少年ヒーローらしい面とらしくない面を持っている。らしくない面は、現状ではヒロインたちの方に圧倒的な実力があって、結果として彼女たちに守られてしまうこと。らしい面は、自分の弱さを自覚し、自分自身を強くしようという向上心と、例え弱くてもヒロインたちを守るために体を張る決意が出来ると言うことだろう。
そういう真面目さが作品に通底しているにもかかわらず、表面的にはエロコメ・ラブコメ展開を追求する。そのあたりのバランス感覚は、現在のところギリギリ取れているとは思うが、どこか踏み外しそうな危うさも感じさせるところに、まだ向上の余地があるとは思う。