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考える練習
著者 保坂和志
「考える」とは論理を詰めることではなく、世界と触れ合うことだ。頭の中の「使っていないソフト」を動かす。
◎「自分の命が何より大事」というのは本当だろうか?
◎「論理的」イコール「正しい」とは言えないのではないか?
◎「人は死なない」と考えることもできるのではないか?
論理に縛られて「テンプレート化した発想」から抜け出すための12講。
考える練習
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考える練習
2017/06/06 14:49
開かれた思考へ
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投稿者:yoshiwoemon - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者の考え方を読むための本としては、「書きあぐねている人のための小説入門」とか、「新しい小説」「小説の自由」「小説、世界の奏でる音楽」の三部作などを手に取るといいのかもしれないけど、いかんせん、ちょっと分量が多すぎるし、小説をめぐっての思考という側面がつよいので、「実用」という意味ではとっつきにくい面がある。その点、この本はそうした「小説家的思考」を、一般的問題意識に敷衍して、広く浅くしゃべっている本なので、読みやすいし、点取り主義的な画一化された思考のパターンから一歩外にふみだそうとする人にとっては、良い入門書になるとおもう。ただ、保坂さん独特の嫌味が端々に利いているので、それがちょっと読む妨げになっているのだけど。
「考える」というと、一般的には「答えを出す」こと、ものごとを結論付けたり、客観視したり、要約したりすることだと思われがちだが、筆者はそうした姿勢をまず第一に切って捨てる。ここでくりかえし筆者が言おうとしているのは、「考える」ということはそのような「冷静な」態度ではなくて、もっと動的・可変的で「熱い」ものだということだ。
例えば〈ゴール〉があってそこへ向かって進むという様なことではなく、〈歩いている道そのもの〉を全て頭の中に叩き込むようにしてただひたすら歩くこと。それが筆者のいわんとする「考える」ということなのだと思う。