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古武術に学ぶ身体操法
著者 甲野善紀 (著)
「ためない、ひねらない、うねらない」という古武術の身体操法が、桑田真澄投手を復活させ、桐朋高校バスケットボール部をインターハイに導いた! 身体の可能性を追究する武術家が、桑田投手とのやりとりから、一般の人にも役立つ疲れない走り方・緊急時の身体の使い方、定型にとらわれない発想まで、幅広く語る。
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古武術に学ぶ身体操法
2007/01/23 00:52
古武術に発想の転換を学ぶ
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の存在を知ったのは本書でも紹介されている巨人の桑田投手の復活劇の裏話をTVで見たときだったと記憶している。肘を傷めた後、不振に苦しんだ彼を救ったのが意外にも古武術との出会いだったのだ。それまでの常識を覆すような「捻らない、うねらない、ためない」投球術に変えた桑田は2002年には、12勝を上げる効果を見せた。復活の裏に甲野ありということだが、本人は自分が何か教えたわけではなく、ヒントを与えただけと謙遜する。陸上の短距離で活躍中の末続選手の”なんば走り”にも古武術の影響があると聞いている。そんなこともあって、他にも様々なスポーツ界で古武術が注目されるようになっている。
本書はただの古武術解説書に留まらず、桑田の投球を変えたような、発想の転換の必要性を説くもので、今の行き詰まった感のある日本社会、更には世界へも広く示唆を与えるであろうメッセージ性の高い書である。
著者は自らを武術家ではなく研究家というように、常に研究を重ね、日々進歩したいと思っている。
私も昔から武道系、格闘技系には非常に興味があり、日本古来の古武術などに神秘性やロマンのようなものを感じている。
本書はこれまでの常識に凝り固まった私には、まさに「目から鱗」の内容の数々であった。昔の日本人は手を振らずに歩いていたなんて初めて知ったし、単なる反復練習への疑問や筋肉トレーニングへの疑問、本当の体力とは何なのかなど、如何に著者が柔軟な発想で、古武術に留まらない身体の使い方に取り組んでいるか、更には広い視野で世界を見ているかということを実感した。
「おわりに」で書かれているように著者は美意識を大事にしている。武士道という文字こそ出てこないが、まさにこれは武士道だと感じた。彼こそ現代に甦ったサムライかも知れない。