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凍てつく海のむこうに
第二次大戦末期,ナチス・ドイツは,ソ連軍の侵攻迫る東プロイセンから,バルト海を経由して住民を避難させる〈ハンニバル作戦〉を敢行した.豪華客船,ヴィルヘルム・グストロフ号も一万以上の避難民をのせて出航したが,ソ連の潜水艦によって撃沈され…….海運史上最大の惨事を,四人の若者の視点で描く歴史フィクション.
凍てつく海のむこうに
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紙の本凍てつく海のむこうに
2018/10/20 18:38
4人の若者が辿る戦争の悲劇
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読了した。それぞれに悲劇を負った4人の若者が遭遇する避難船の惨劇。文章が読みやすく骨太な物語だ。女主人公ヨアーナが辿る運命は作者のルーツでもある。
ソ連は避難船と分かっていて魚雷攻撃をしたのか?ドイツ軍の輸送船と見たから撃沈させたのか?巻末に掲載されていた参考文献にもあたってみたい。
リトアニアとポーランド。第二次大戦において、この両国はドイツとソ連による残虐行為の舞台となった。物語に登場するリトアニア人少女ヨアーナとポーランド人少女エミリアも、国家による蛮行の被害者だ。そんな中で、ナチスに背信したドイツ人青年フローリアン、人生の達人で「詩人」と慕われる靴職人ハインツ老人、老人を慕う無邪気な孤児クラウスらとの民族を越えた交情に胸を打たれる。
作者ルータ・セペティス氏は日本でもっと知られてほしい作家だ。氏のもう一つの代表作『灰色の地平線のかなたに』も読んでみよう。
紙の本凍てつく海のむこうに
2018/05/17 12:28
胸を打たれる
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あたりめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦末期、ソ連軍が侵攻する東プロイセンから市民をバルト海に逃す「ハンニバル作戦」を題材にしたヤングアダルト向き小説。立場も状況も違う4人の若者の視点入れ替えながら物語が進行する。史実を基にしたフィクションだけど、取材を基に徹底したリアリティで描かれている。
自分がこんな状況に陥ったら、すぐ死ぬだろうなー(^_^;)と思いながら、登場人物たちの強さ、たくましさ、儚さに胸を打たれます。人間てどうしようもないくらい愚かで、でも強くて、美しい。
私は戦争や貧困、差別を題材にした文学が好きで、それってどういうことなんだろう?かわいそうな人たちに比べて自分は恵まれてるって思いたいだけ??と自問してみたけど、結局、人間の愚かさ、弱さ、儚さを愛おしいと思うと同時に、人間は強く、美しいってことを感じたいからなのだと思う。自分も頑張って生きなくては、と思う。
紙の本凍てつく海のむこうに
2023/11/19 16:30
同情したくてもできないくらいの悲惨な出来事を過去に生きた人が行い、
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
その中で必死に生き抜こうとする人がいた。きっと戦争をする人っていうのは、こういう事実が過去にあったと知っていても、自分のエゴのために戦争をするんだろうと思う。だけど本を読んで、知っている人が増えることは世の中に何らかの影響を与えるとも思うから、やっぱり知るべきだ。過去と現在を比較すればいいというものでもないけれど、今の自分の行動を見返すきっかけくらいにはなるかな。