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マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国
著者 南川高志(著)
マルクス・アウレリウスの生涯は,「哲人皇帝」にふさわしいものであったのか.終わらない疫病と戦争というローマ帝国の実態のなかに浮かび上がるのは,心労を重ねながらも,皇帝の職務をひたむきに遂行しようとする人間の姿であった.歴史学の手法と観点から,『自省録』の時代背景を明らかにすることで,賢帝の実像に迫る.
マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国
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マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国
2023/02/10 04:39
読みやすい
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マルクス・アウレリウス - この投稿者のレビュー一覧を見る
政治や戦争に明らかに向いてないにもかかわらず、皇帝として人間として誠実に懸命に取り組み、苦闘した生き方が見えてくる。ストア哲学者としての一面を意識的に過小評価しているように感じるが、オタク的とも言える哲学への傾倒と実践は、この人物にとって決定的に重要だったことは、彼自身の「自省録」と虚心に向き合えば、否定することはできないと思う。その上で、彼を取り巻く多彩な人物や、パクス・ロマーナの繁栄に翳りが見え始める当時の時代状況など、他の歴史的要素が彼に与えた影響を考えさせてくれる。「ローマ皇帝群像」を筆頭に貧弱な史料残存状況が残念だが、それらを駆使して鮮やかに手際良く見事にまとめ上げられた1冊。