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数学入門
著者 遠山啓
数学は試験のためにだけ必要なもの、卒業と同時にさっぱり忘れてしまうものではなかったか。しかし今日数学はあらゆる分野に活用されている。現代社会に活動するすべての日本人に必要な数学の知識を、日常生活の論理に定着させて分りやすく説き、会社経営や商品販売は勿論、家庭生活にも豊富な知恵とアイディアを提供する。
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数学入門 上
2001/09/05 17:38
数学の興味深い歴史が見えてくる
15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dill - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生の頃,わたしは数学が大の苦手であった。たびたびテストで赤点をとるものだから,数学の先生は何とかしなければと思ったのだろう。ある日,一冊の本をわたしに貸してくれた。正確には上下巻二冊なのだが,まあようするに,それが本書『数学入門』だった。
先生が言うには,自分はこの本に出会い数学が好きになったのだそうだった。本当だろうかと,わたしは怪しみながら,その本を借りた。そして,驚いた。本の中には,わたしの知らない…,いや! 想像すらしなかった数学の世界が広がっていたのだ。
わたしは数学は苦手だったが,歴史は(得意ではなかったが)好きだった。歴史上の人物と言われる人々の生き方は魅力的で,おどろくべき発想と事件の数々は想像力を刺激してくれる。本の中には,数学の歴史がつめこまれていた。
古代のエジプトやバビロニアの,まさに原初というべき数学から,現在でも知られているユークリッドやピタゴラスと言った,歴史上の有名人まで。わたしの好きな歴史がここにはあった。
もちろん,この本は数学の本だから,数学につきものの数式や数理も,多分につめこまれていたが,一番わたしの興味を惹いたのは,数学がどのように発展していったのかが書かれていることだった。その発展の歴史をみていくと,数式や公理と言うものも,今の学校で学ぶような難解なパズルを解く暗号のようなものではなく,人の知恵や人生そのものであるように思えるようになった。
この本を通して,わたしは初めて数学が面白いと思った。そして,なぜこの本を,先生が,できの悪い生徒の一人であるわたしにすすめてくれたのかが理解できた。
この本を読み終える頃には,わたしの数学に対する考えは,まったく改められてしまっていた。そして,それ以降,わたしは歴史が好きなように,数学も好きになった。もっとも,成績の方は歴史同様ふるわなかったが。
それはそうと,わたしは不思議でならないのだが,この本を貸してくれた数学の先生の授業は,おせじにも楽しいものではなかった。特に,この本を読んでからは,なおのことそう感じた。それは,わたしが数学がすきにはなっても,得意にはならなかったことと同じなのかもしれない。
数学入門 上
2020/11/09 15:50
社会に働きかける数学者だった著者による渾身の啓蒙書
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校の授業で教わるだけで、
ひたすら無機的な数字と記号の羅列にしか見えなかった
数学の言葉を、少しでも血の通った、
自分にとって意味のあるものに見せてくれた本です。
上下で一冊という編集にしてもらえると、
持ち運びやすいと思うのですが。