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ローラ物語

著者 ローラ・インガルス・ワイルダー作 , 谷口由美子訳

ローラたちの一家が住む大草原の小さな町を,長くて厳しい冬がおそう-大自然とたたかいながら力強く生きた,アメリカ開拓期の人々の生活がいきいきと描かれる.

わが家への道 ローラ物語5-ローラの旅日記

税込 704 6pt

わが家への道 ローラ物語5-ローラの旅日記

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わが家への道 ローラの旅日記 新版

2011/11/02 16:05

旅の終わりに。

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

災難つづきの新婚生活が過ぎ、ふたりは果たしてどうなったのか。
「はじめの四年間」の、その後のローラの日記。シリーズ番外編。
本書はローラの遺稿から見つかった、彼女の旅日記に、
娘のローズが最初と最後の章を書き加えて出版されたものである。

ローズは世界を飛び回ったジャーナリストであり、作家であった。
そして、ローラの編集者でもあったのだ。
ローラがインガルス一家の物語を書き始める前に、
ローズは文筆業で世にひろく知られていた。
ローズの存在なくしてはこのシリーズは生まれなかっただろうといわれている。
ローズはローラの文才をいちはやく見抜き、励まし、指導し、支えてきた。
それに応えてローラも出版社からの締め切りを守り、
「大きな森の小さな家」から「この輝かしい日々」まで、8冊の本を書き切ったのだ。

しかし、本書でローズの書いた最終章を読んで、すこし残念に感じたことがある。
一家の永住の地をついに見つけて土地の契約に行こうとしたその日のこと。
ローラ、アルマンゾ、ローズのワイルダー親子3人にちょっとした事件が起きた。
大事にしまっていた100ドル札がなぜか出てこない。
動揺した母のローラが、ローズに訊ねる。
『うちがお金を持っていること、よその人に喋ったりしなかった?』と。
馬車での長旅の食事はいつもキャンプで、他の移民予定者たちとの接触も多かったからだ。
みなが条件のいい土地を求めて旅をしていた時代だった。
両親はよもやローズが隠しているとは思わなかっただろうが、
小さいなりにそのお金がどれだけ重大な意味を持つのか、ローズはわかっていた。
もちろん誰にも喋ったりはしない。そのあと結局お札は見つかった。
ローズとしてはとくに母親に傷つけられたという心情が書き込まれている。
7歳のローズの気持ちを推し量ってみると、たしかにこういった思い出は
多かれ少なかれ誰にでもあるだろう。絶対的弱者である子どもが、親に感じる恐怖。
少女の、息苦しいような締め付けられるような思いは、じゅうぶん理解できる。
けれども、ローズはもう7歳の少女ではない。
りっぱにプロの文筆家として、母親とすばらしい仕事を成し遂げているのだ。
ローラの死後、娘のローズにローラの物語のつづきが読みたいという手紙が殺到した。
不動産のセールスマンとして、宣伝文も書いていた経験を持つローズは、
人の心をすばやく読み、何を望んでいるかをつかむことに長けていたはずだ。
母に傷つけられたという思いは、何もここで語らなくてもよかったのではないか。
ローラのファンに、娘としての余裕を見せてほしかったというのは、贅沢だろうか。
「はじめの四年間」にあるが、ローズは生まれる半年前に名前が決まっていた。
安定期に入ったローラが、アルマンゾと一緒に馬車でドライブに出かけた草原には
色とりどりの野ばらが咲き乱れていた。ローラは野ばらが好きだった。
その甘いにおいを嗅ぎながら、お腹の子は女の子だとローラは確信したのだ。
予想どおりに女の子を出産してまもなく、『12月のバラは、6月のバラより貴重』と
さりげなく娘への愛情を込めた、ウィットのある一行を書きつけている。
ローズの誕生が「はじめの四年間」のなかでどれだけ希望を与えていたかが伺える。

ローラの日記は、絵のように細やかな描写が光る。風景が浮かんでくるようだ。
事物や人に対しての観察眼にはおどろかされるが、感情は書かれない。
日記がこうなのだから、これがローラの本来のスタイルなのだろう。
現代、ブログ文化が栄えているが、当時の人々もよく日記をつけていたらしい。
開拓移民だったインガルス一家の娘であったローラにとって旅は日常だったが、
新しいことを発見する興味は尽きなかった。
ワイルダー一家としての旅でも、見知らぬ土地で見聞きするすべてに興奮していた。
夜はキャンプの焚火のそばで、アルマンゾの助けを借りながら、
どんな小さなことも洩らさないようにローラはノートに記していた。
青い罫線の一行に、ローラはこまかい字で三行ぶんを書き、ページを節約していた。
そしてこの日記をとても大切にしていたそうである。
インガルスのとうさんが言っていたように、大きくアメリカが変る時代だったので、
そのときの暮らしを克明に書いておけば、
歴史的に貴重な資料になるのではないかと考えていたためだ。
「わが家への道」には当時の写真も何枚か添えられていて、
馬車でぎっしりの大通りなど、現代とは異なった生活様式を伝えている。

晩年、ローラとアルマンゾは馬車ではなく自動車で、西部へむけて旅に出た。
ローラが物語に書いた、ふたりにとっての思い出の詰まった大草原へも行った。
このころにはすでに、とうさんもかあさんも姉のメアリーも永眠。
結婚した妹ふたりのそれぞれの家に立ち寄って思い出を噛みしめたという。
旅から戻って数年後に、デトロイト公共図書館の分館が設立され、
ローラ・インガルス・ワイルダー分館と名付けられた。
ローラは開館式に招待され、アルマンゾもこのことをたいへん喜んだが
92歳という高齢の彼の体調を気遣い、ローラは出席しなかった。
まもなくしてアルマンゾは心臓発作を起こし、二度と目覚めることはなかった。
ふたりが結婚してから60数年の時間が経っていた。
その後ローラは寂しいけれども穏やかな日々を淡々と過ごす。
ローラが90歳の誕生日をローズと一緒に迎えると、たくさんのお祝いの品や手紙が届いた。
アメリカのあちこちで、ローラの誕生祝いが計画されていたのだ。
それから3日後に、ローラはアルマンゾのもとへ旅立った。人生に終わりを告げる旅へ。

シリーズを読み、関連本にも目を通してローラ自身に触れてみて思ったことは、
豊かな人生、ということだった。
1日は24時間、ひとりの人間に体はひとつ。これは絶対に変えられない。
自分がなにを持っているのかに気づき、工夫し、持っているものを味わい尽くす。
物質的なことにかぎらずに。
そんなローラの生き方は、この先もずっとわたしを魅了しつづけるだろう。

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長い冬

2011/08/18 16:13

シリーズ六作めは、青春篇のプロローグ。吹雪ばかりに塗り込められた白い冬。

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

いままで講談社文庫で読み進めてきたが、この本は岩波少年文庫である。
このシリーズは、すべてを統一された書籍で読むことができない。
これは邦訳の版権の事情で、
物語の前半と後半を、それぞれ違う出版社が取得しているためである。
じつはこのシリーズは厳密には、前半が少女篇、後半が青春篇として分かれているのだ。
ローラは、「長い冬」を青春篇の第一部としていて、
意識的に大人の小説へと展開していくつもりだったらしい。

おなじ作品のシリーズを違う翻訳者で読むことは初めてだったし、
ちょっとした語彙やトーンの違いには少々とまどったものの、
「長い冬」という作品の持つ魅力に遜色はなかった。
タイトルどおりにやや暗く重い設定だったにもかかわらず、読ませる力がつよい。
ここからは、淡々とした情景描写だけではなく人物の行動や心理が明細に描かれるからだ。
「農場の少年」までの前半部にはなかったものが盛り込まれ、新鮮でもある。

「シルバー湖のほとりで」に書かれていたように、
インガルス一家は、ふたつの住まいを手に入れた。
鉄道開通にともなってできた真新しい町デ・スメットの住まいと
そこからすこし南へ下った開拓農地の住まいである。
シルバー湖での越冬を終え、春には町と農地を行き来しながら、
父さんはひと足はやく、夏には農地を耕しはじめ、一家は農地小屋に落ち着いた。

ローラがもうすぐ14歳になろうとしている、晩夏のある日。
父さんの農作業の手伝いをしていたときに、池の端に奇妙なものを見つけた。
それはジャコウネズミの巣だった。近づいてみると異様に大きかった。
ローラの背丈ほどもあるし、幅も両腕を伸ばしても足りないくらいにある。
父さんは言った。ジャコウネズミの巣の大きさは、来る冬の寒さに比例するのだと。
ことしは厳しい冬になる。このメッセージは、シンクロニシティのように
インガルス一家を追いかけてきた。
9月におりた早すぎる初霜。10月の猛吹雪。湖からは鳥たちが一羽もいなくなった。
父さんは確実にこの冬の過酷さを察知した。

一家は、デ・スメットの町で厳しい冬を乗りきることになったが、
それは予想以上のものだった。
来る日も来る日も吹雪がつづくのだ。家から一歩も出られない。
まっしろな冬に閉じ込められる。雪はまるで不気味な気配を連れてくる悪魔だった。
頼みの綱だった鉄道は完全に吹雪に道をふさがれ、食糧が運べない。
なんのために町へ来たのだ。ここには店があり鉄道が通っている。
厳しい冬に食糧が確保できるからこそ、農地から引っ越してきたというのに。
町の商店からは食べるものが姿を消した。
住民たちは家に蓄えた食糧がいつ底をつくか、ひやひやしながら食事をした。
鉄道が回復する見込みはさっぱりない。暖をとる燃料である石炭も買えなくなった。
インガルスの父さんは吹雪のない日に橇に乗って農地へ出かけ、干し草を取ってきた。
こよりのようにねじって太い棒にし、ストーブへくべるためである。
干し草ねじりは毎日の日課になった。ローラの手には干し草の傷が無数にできた。
母さんはなんとコーヒーミルですこしずつ小麦を挽いてパンを小さくこしらえた。
食糧事情は深刻だった。各家庭で大切に分け合いながら食べていた主食である小麦。
その小麦が、とうとうなくなりそうなのだ。
ある日、南のほうの農地に小麦を蓄えた農夫がいるという噂が町をかけめぐった。
町の勇気ある若者がふたり、その小麦を町の住民のためにいくらか分けてもらおうと、
橇に金貨の袋とみんなの思いをのせて出発する。
たしかなことなどひとつもわからないのに、危険を顧みず出発したのは
開拓農地から、兄が営む商店へ避難してきていたアルマンゾと、キャップだった。
アルマンゾとは、もちろんアルマンゾ・ワイルダーである。
「農場の少年」は19歳に成長し、念願だった農夫となったのである。
もう、おとなしく従順なだけのアルマンゾではない。
果敢に挑戦し、心理的なかけひきさえこなす青年である。
ローラとの接点はまだないけれど、おなじ町の住民としてお互いに顔は見知っていた。
ローラは小麦を求めて旅立った彼らの消息を案じていた。
へたをしたら死ぬかもしれない。白い悪魔からどうか身を守れますように、と。

「長い冬」で感心するのは、ローラが大人の要素を入れていくと言っていたとおり、
社会に必ず存在するみにくさをうまく描いているところだ。
たとえば、助け合わなければいけないときに、自己中心主義者が必ず輪を乱すこと。
そのほか家族の描写のなかにも、ローラと姉のメアリーとのちょっとした確執や、
父さんと母さんの意見の食い違いなどがけっこう生々しく書かれていて、
どきりとする場面がたくさんある。
毎日のようにつづく吹雪は、人の心までも凍てつかせてしまう。

ローラの暮らしたサウス・ダコタは、夏は暑すぎず快適だが、冬は厳冬で気温は零度以下。
現在の観光の目玉として、キーストーンのラシュモア山国定記念公園が有名である。
巨大な四人の大統領の彫刻(ワシントン、ジェファーソン、ルーズベルト、リンカーン)は圧倒的な存在感をもつが、完成には14年の歳月を要した。
彫刻家ガットスンは400人のスタッフと共に作業に当たったらしいが、
秋から吹雪く山での作業はどんなに過酷だったことだろう。
この過酷な環境のサウス・ダコタ付近のいくつかの州には意外なものが存在していた。
1942年、第二次世界大戦の戦時下で、日系人の強制収容所が急ピッチでつくられたのだ。
粗末な小屋で暮らすことを義務付けられ、すべての自由を奪われていた人々。
決して少数ではない、試練を受けなければならなかった人たちにとっても、
冬の厳しさは追い打ちをかけるように残酷なものだったに違いない。
日系人強制収容所がアメリカにかつてあったという事実さえ知らなかったが、
「長い冬」を読み終えた後で、ワイオミングの収容所跡のテレビ放送を見て、
わたしにとってこの本は、色々なことを考えさせる一冊となった。

さて、とてもシリアスな展開になったが、「長い冬」のラストは軽やかである。
長く、暗い、寒い冬を耐えきったあと、インガルス一家にすばらしい贈りものが届く。
この過酷な状況を超えたからこそ、感じられる、すばらしい奇跡のような瞬間が。
つらい時期は長く、永遠のようにも思われるが、いつか過ぎ去る。
いまはすべての途中にあるのだ。いいときでも悪いときでも。

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はじめの四年間

2011/10/31 23:24

原石の輝き。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

厳密には番外編というべき、シリーズの第9作。
読み始めてすぐに、読者は疑問符に包まれてしまうことだろう。
前作で薔薇色の婚約時代を送っていたはずのふたり。
ところが、本書20ページで、ローラはアルマンゾのプロポーズを断ってしまうのだ!
開拓農夫の嫁の仕事がどんなに過酷か、ローラにはわかっていた。
「長い冬」で開拓農地の厳しさを思い知らされた彼女だからこそ、わかる苦労は避けたい。
農夫の嫁にはなれない。結婚するならほかの仕事を探してほしい。
それがローラの言い分だった。しかし、アルマンゾは食い下がる。
農場の少年として、農夫になることにひたすら憧れてきたアルマンゾは、
父親に言われ、いまの自分の核になっている言葉をローラに伝えることになる。
農場主は一国の主だから、なんでも思い通りにできるのだ、と。
たった10歳で人生の岐路に立たされたあの日の記憶が蘇る。
スカウトされた馬車屋に馬車職人として入るのか、
このまま農場の手伝いをつづけて将来はどこかの農場主になるのか。
アルマンゾの心は決まっていた。彼は馬車職人としてではなく、
のちの農場主として馬を飼いたいのだ、と。そしてそれを両親に告げたのだった。
しかしいまは幼い少年ではないし、告げる相手は結婚しようとしている女性である。
アルマンゾは注意深く言葉を選び、具体的な数字をあげていく。
ひとりのときつくっていた小麦の量を今後はこれくらいに増やしていこうとか、
牧草をもっと増やして、馬を育てて売ることも考えているとか。
さらに、農業の最大の魅力をアピールする。
農場では、農民が何をやりたいかですべて決まってくる。
懸命に働けば町の人より稼げるし、いつだって自分が主人でいられるのだ、と。
まずは3年、農業をやってみよう。それでだめなら君のいうとおり、
違う職業に就こうじゃないか。
このひと言にローラは結局従うことになるのだった。苦労もまたたのし。
そして、いったん腹をくくったローラは、アルマンゾを心から支える。

この本は、ローラの遺稿から見つかったものを、ほぼ手を入れずに出版したもの。
じつはこの原稿は、第8作「この輝かしい日々」につづけて書かれたものではない。
ローラ・インガルス・ワイルダーその人についての研究は、始まってから比較的浅い。
まだこれからあたらしい事実がみつかる可能性もあり、断定的にはいえないが、
「はじめの四年間」は、ローラが作家として初期のころに書かれたものなのではないか
という研究家の意見がある。
内容的にはローラとアルマンゾが結婚してからの4年間を綴ったものだ。
12年かけて執筆されたシリーズは、当然、巻を追うごとに滑らかになる。
「はじめの四年間」は、たしかに時間軸的には「この輝かしい日々」のつづきだが、
執筆した時期がだいぶかけ離れているのだ。
しかも、「はじめの四年間」は推敲されていない下書き原稿のままである。
アルマンゾの名前もマンリー(彼の愛称)と記されていたりする。
ずっとシリーズを順に追って読んできた読者が違和感をおぼえるのも無理はない。

「はじめの四年間」は、あらすじを書こうとすれば気がめいるくらいの
暗い話なのだが、読み終えても疲労感を感じない。
心理的な内面はあまり書かれず、起こるできごとを淡々と描写していく。
かなり悲惨な状況が語られているのに印象はあっさりとしているのだ。
たとえば、生まれたばかりの赤ん坊がわずかのあいだに亡くなってしまうことも
さらりとしすぎているくらい、単に通り過ぎた出来事として描かれる。
でも、これがローラの描くものに一貫した特徴ともいえる。
時には、まったく語らないことが、言葉をいくつも尽くすことより雄弁になる。
ほんとうはここでもっと悔しかったんだろうなぁとか、落ち込んだだろうなとか。
読者の想像をひろげてくれるのだ。
感じた辛さをあえて書かないことに、潔さと深さをおぼえたりもする。
本書を読んでいて、庄野潤三を思い出した。それはあのきめ細かなフィルター。
読者の不快をさそうようなマイナスの感情が、注意深く取り除かれているのだなぁ、と。
「長い冬」から、人間関係の複雑さは描かれるようになるが、
ストーリーがそれだけに飲み込まれてしまうということはない。
児童文学というジャンルへの気遣いということもあっただろう。
「大草原のおくりもの」(角川書店1990)によれば、
ローラは、書きたくても子どもにふさわしくない出来事は書かなかった、と、
後にブックフェアの講演の席で語っている。
それは感情の吐露ということではなく、残酷なエピソードについてだった。

「はじめの四年間」は、とても地味な話だ。
若い新婚のふたりが、開拓農地でつぎつぎと苦難に見舞われる話だ。
けれども、ふたりは砂を噛むような状況のなかでも、絶望しない。
絶望はベンチに座っていて、通りかかる人を常に待っている。
ふっと気を許したら、絶望に手をつながれてしまう。
ふたりはきっちりとスクラムを組んで、絶望の入る隙を与えなかった。
アルマンゾの農夫魂と、ローラの開拓者精神は、心の奥深くで結ばれて
仕事を、人生を、たのしむことを諦めなかったのだ。
作家生活の初期に書かれたこの作品は、シリーズのほかのものとくらべると
粗削りで無愛想な感じを受けるが、逆にこの1冊だけを読むと、
ローラの描く物語の本質が散りばめられていると感じることができるかもしれない。
脱稿してそのままの状態ということは、編集者の手が入れられていないということだ。
ローラの書きたいように書いた、演出なしのありのままのローラの文章には、
推敲されたほかの作品群にはない魅力が詰まっているかもしれないのだ。
わたしはここに、研ぎ澄まされた感性を持つ作者のフィルターと、語らないことの効果を感じたのだ。
誰だって体に有害なものには敏感だ。でもそれ以上に、心に有害なものを入れたくない。
だからローラの、うわずみをていねいに掬ったきれいな水のような文章を
ずっと読んでいたいし、そういうものにまた出会いたいと思ってしまうのだ。

この辛く苦しい新婚時代をくぐり抜けたローラは、後にエッセイに書いている。
『わたしたちはなぜ、人生を楽しむために、余分の時間が必要だと考えるのでしょう?
人生を楽しみたいと思うならば、時間があるときとか、特にすることのないときとか、
そういう特定なときにではなく、すべての時間に楽しむことを覚えればいいのです。
・・・わたしたちは昔のような厳しい生活をしていません。
要は、自分が生活をどう見るかにかかっているのです』
「大草原のおくりもの」より趣旨抜粋

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