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恋愛論
「この本は恋愛と呼ばれる情熱を構成するすべての感情の詳細で綿密な記述なのである.」理論書か,批評か,告白か,創作か――「結晶作用」の喩えでも知られ,古今東西にわたる引用,そして作家自身の恋愛体験が織りなす無類の書物.上巻には第二巻第五十三章までを収録,詳細な訳注を付す.新訳.(全2冊)
恋愛論 上
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紙の本恋愛論 上
2020/03/31 23:16
恋愛における感情の機微についての丁寧な記述
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投稿者:いぬ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『恋愛論』というタイトルですから、『これは恋愛のノウハウについて書いてあるのでは?』という疑問を抱く方もいるかと思います。実際に、私がそうでした。
この本には、現代的なハウツーではなく、恋愛にまつわる人間の感情の機微が、丁寧に書かれています。恋をしたことがある人ならば、誰もが共感してしまうようなことばかりだと感じました。
『なるほど、こういう時に抱く感情は、スタンダールによればこのように説明されるのか。』と思ったほどでした。ここに丁寧に描かれている感情、心の動きの一つ一つは、決して過去を生きた人々にしか当てはまらないものではなく、現代を生きる私たちにも当てはまるものであります。この作品を通じて、今の人も昔の人も、恋愛に対して喜びを感じたり、臆病になったりすることに変わりはないということを実感しました。
「結晶作用」という言葉については、下巻に収録されている『ザルツブルクの小枝』を読むと、よく理解できると思います。それゆえ、仮に上巻で「結晶作用」の意味をいまいち理解できなかったとしても、焦ることなく読み進め、下巻へと進んでいき、意味を掴んだ上で、また上巻へと戻って読むのも良いと思いました。